私立中高進学通信
2014年11月号
Teacher's Lounge 先生たちの座談会
恵泉女学園中学校
6年間のスタートラインに立った
中学1年生が、入学してよかったと思える
"人間力"と"学力"を養う土台を築く

参加の先生方(左から)
篠田絵里子先生
●美術科、中学1年学年代表、美術クラブ顧問。同校の卒業生。教壇に立って15年目。
小山達也先生
●数学科、中学1年担任。剣道3段の剣道部顧問。大学院を修了後、昨年度同校に着任。
岩村純子先生
●保健体育科、中学1年担任、陸上部顧問。教員歴26年目のベテラン。
『感話』で養う思考力と発信力
中1生は自分の思いを原稿用紙約3枚にまとめ、クラスで発表。中学全体の礼拝では中3生による感話を聞き、上級生の広い視野、深い思索に触れます。

❷読書ノート
先生達が選んだ選りすぐりの50冊が紹介されています。この中から6冊以上読むよう指導しています。

❸メディアセンター
1980㎡にも及ぶ広さのメディアセンターには、9万冊の本に加えてDVDなどの電子メディアも所蔵されています。

岩村先生
中学1年は6年間にわたる学園生活の一歩目。本校が第一志望だった生徒もそうでない生徒も、「この学園に入学して良かった」と気持ち良くスタートを切れるように、私達は力を尽くしています。毎朝行われるクラス別の礼拝では、担任が「こんな思いで毎日を過ごしてほしい」と話し、生徒達の前向きな気持ちを育てています。
小山先生
普段は"先生と生徒"という関係ですが、朝の礼拝は同じ目線の高さで語りかけるようにしています。そのほうが生徒の心に響くようで、数学の授業とは生徒の目つきも違います。人の話を聞くことの大切さを学べるのではないでしょうか。
篠田先生
礼拝で週2回実施している❶感話も有意義ですよね。日頃感じていることや考えたことを文章にして発表しますが、普段はあまり自分の意見を言わないおとなしい生徒の感話を聞き、「こんなことを考えていたんだ」と驚かされることがあります。
小山先生
どんな感話でも、冷やかしたり茶化したりする生徒は1人もいませんよね。
篠田先生
お互いの感話を聞くうち、他人を受け入れ、相手を思いやる気持ちが生まれるのでしょう。中学1年生の最初は「朝6時に起きました。ご飯を食べました。歯を磨きました」と行動記録しか書けない生徒も多いですけどね(笑)。
岩村先生
それでも、基本的に添削はせず、自由に書いてもらいます。1人につき年に3回は発表しますし、全校礼拝では上級生の感話を聞いて刺激を受けるので、徐々に書く内容も深くなりますね。
篠田先生
教師の立場からすると、感話は生徒の心を知るバロメータにもなりませんか?
岩村先生
そうですね。突然感話が書けなくなったら、それは何かのサイン。生徒が抱える悩みをいち早く察知できます。
篠田先生
私は本校の卒業生ですが、感話のおかげで物怖じせずに自分の意見をはっきり言えるようになりました。本校が目標とする思考力と発信力の育成にもつながっていると思います。
小山先生
思考力の育成には、昨年から導入した❷『読書ノート』も役立っていますよね。生徒達が小説からノンフィクションまで、幅広いジャンルの本を読むようになりました。
岩村先生
本校には大きな❸メディアセンターがありますから、活用しないのはもったいないですしね。『読書ノート』のおかげで多くの生徒が本に親しむようになり、休み時間に本を広げる生徒も増えました。
主体的に計画を立て自分のための勉強を
試験の2週間前に配付され、各科目の学習内容と勉強時間の計画を記入します。平日は90分以上、休日は300分以上の自宅学習が目標です。
❺園芸
イチゴやジャガイモ、バジル、綿などの植物を栽培する同校独自の科目。土に触れ、友人とともに農作業に励むことで、命を大切にする心が育まれます。

篠田先生
中学1年は、学業面でのスタートも大切ですよね。生徒が自分自身で学習計画を立てられるよう、❹『定期試験対策シート』を取り入れています。
岩村先生
『定期試験対策シート』では、計画を立てるだけでなく実行することの大切さも教えています。目標をどれだけ達成できたか、シートにチェックし、定期試験後は『試験結果表』を配り、目標点と実際の点数、反省点を記入してもらいます。反省を生かして、次回の試験勉強につなげてほしいですね。
小山先生
数学では、今年から少人数クラスを導入しています。中学受験の難しい算数問題と向き合う中で、苦手意識を抱くようになった生徒は少なくありません。「中学で学ぶ数学は、受験の算数とは違うんだよ」とわかってもらえるように、「できた!」という喜びを感じる体験を大事にしています。少人数クラスになってからは、生徒一人ひとりに目が届くため、きめ細かな授業ができるようになりました。
岩村先生
❺園芸の授業があるのも、本校の特色ですよね。植物を育てることで命の大切さを知る。自分達もさまざまな人に育てられていることに気づき、感謝の気持ちを抱く。得るものが多い取り組みだと思います。
篠田先生
植物を育てるだけでなく、加工して食べるところまで体験できるのも大きな特徴です。例えば小麦なら、収穫後に石臼で挽いてクッキーにして食べる。植物ではありますが、「命をつなげるためには他の命を犠牲にするんだ」と身をもって実感できます。
小山先生
植物を育てていると予期せぬ自然災害などで、作物がダメになることもあります。努力だけではどうしようもないことがあるという人生の理不尽さを知るのも、中学1年生にとって大切なことではないでしょうか。災害のニュースも、自分のことのように感じられると思います。
岩村先生
確実に視野が広がっていますね。多くの人々、多くの産業によって社会が成り立っていると気づくきっかけにもなっています。
小山先生
東京23区内でこれだけの園芸体験ができる学校は、なかなかありません。生徒達も楽しそうで、見ていると加わりたくなります。
篠田先生
こうしたさまざまな取り組みを通じて、どの生徒も学校での"居場所"を見つけていきますよね。1学期は非常におとなしくしていた生徒も、2学期を迎える頃にはすっかりリラックスした表情を見せています。
岩村先生
受験の重荷を下ろし、「ここから中高生活が始まる」と感じてもらえればうれしいですよね。
篠田先生
中学受験時の"親を喜ばせるための勉強"を卒業し、"自分のための勉強"を始めてほしいと思っています。本校には絶対に諦めない先生がそろっていますからね。どんな時でも、粘り強く生徒達に向き合っていきますよ。
小山先生
先生同士の連携も取れていますよね。私はまだ2年目ですが、ベテランの先生方との間に壁を感じることがありません。
岩村先生
そんなオープンな空気が生徒達に伝わるのだと思います。これからも中学1年の担任が一丸となって、生徒達の成長を支えていきたいですね。
(この記事は『私立中高進学通信2014年11月号』に掲載しました。)
恵泉女学園中学校
〒156-8520 東京都世田谷区船橋5-8-1
TEL:03-3303-2115
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