私立中高進学通信
2014年10月号
The Voice 新校長インタビュー
東洋大学京北中学校
満を持して、いよいよ東洋大学京北がスタートする

石坂 康倫( いしざか・やすとも)
1976年、東京学芸大学卒業。同年、都立狛江高校に数学科教員として赴任。
その後、都立第五商業高校、都立北多摩高校、都立豊島高校(定時制)を経て、
都立八潮高校(定時制)、都立立川高校で教頭を務める。
その後、目黒地区中等教育学校(仮称)開設準備担当校長と都立大学付属校高校校長(全日制・定時制)を兼任し、
都立桜修館中等教育学校校長、都立日比谷高校校長を経て現職。
「できない」ではなく「できる」と言うことでやり遂げられる
新生・京北の改革のための3つの実践
- あいさつをしっかりする
- 人の話をしっかり聞く
- 何事に対しても一生懸命取り組む
私は、学校で「『できない』という言葉を安易に使わないようにしましょう」と常に言っています。その理由は、人間は「できない」と言ったときから、体裁を繕うために「なぜできないか」という理由を考え始めてしまうからです。自分で「できる」と言うことで、やり遂げるために必要なことを考え、工夫し、行動するようになるのです。
2012年、私が本校の校長に赴任したとき、生徒に3つのことを実践するように求めました。それは、
1.あいさつをしっかりする
2.人の話をしっかり聞く
3.何事にも一生懸命取り組む
ということです。初めての全校集会ではざわついていましたが、このことを説いてからは私語がほとんどなくなり、話をよく聞くようになりました。また、生徒はみな自覚して、自主的に行動できるようになってきています。
教員にも、国公立・有名私立大学の入試問題に取り組み、指導の仕方を考えてもらったり、授業実践力向上、生徒指導、進学指導、校務運営、共学化、教育法規、個人情報保護といったことをテーマに年10回以上(新任の教員は30回以上)研修を実施しています。めざす学校のイメージを共有することで、同じベクトルに向かって団結する。そこから生まれる力はとても大きいものです。
学力と心を鍛えて身につく「本当の教養」
本校の最大の教育目標は「本当の教養を身につけた国際人の育成」です。そのためには、学力と心の両面を向上させなければなりません。
生活様式も価値観も異なる外国人と真の国際交流ができる「グローバル人材」になるためには、「本当の教養」と呼べるものを身につけることが大切だと私は考えています。
学力で求められることは2つあります。「知識を活かしてものごとを俯瞰して見る力」「ものごとを掘り下げて考える力」です。「木を見て森を見ず」ということわざがありますが、「森を見て木を見ず」とは言いません。確かに、ものごとを俯瞰して見ると全体像はわかります。でもそれだけでは十分ではない。1本1本の木を詳しく見て、全体も理解できる。両面をあわせ持つことが大事です。
そして心の面で求められることも2つあります。ひとつめは「豊かな心」を持つことです。ものごとを多面的に見るように心がけることで、豊かな心は育ちます。豊かな心を持つと、いっそう多面的な見方ができます。ふたつめは「思いやりの心」を持つことです。そのためには他人の気持ちや考えを理解することが不可欠です。つまり人の立場に立ってものごとを考えられる人間になってほしいのです。
全科目履修と国際教育で生徒の未来を切り拓く
学習面では、全科目履修型のカリキュラムを編成します。進学に備え、受験科目の勉強は意識しなければなりませんが、すべての教科をまんべんなく学ぶことは、若い人たちに欠かせないことだと思います。そうした学びの中に、自分の将来を決める出会いがあるかもしれません。
そして、学校独自の設定教科として【国際教育】を導入します。具体的には『国語で論理』、『国際理解』、『国際英語』という3つの科目を設けます。
『国語で論理』は、人の意見を聞いて、自分の意見をきちんと述べることができる力を育むための時間で、外国人とコミュニケーションをしていくうえで欠かせない論理的思考力を養います。
『国際理解』は、生活の仕方や気候風土、食べ物、価値観などについて学べる時間にしたいと思っています。それぞれの国の風俗習慣を理解することで、真の国際交流ができる力を育みたいと考えています。
『国際英語』はいくつかのコースに分かれています。具体的には『ディベートができる』『英語を楽しく話す』『スピーチができる』『英検1級をめざす』などの選択が可能な科目にする予定です。
このほかに【国際教育】の一環として、中1のイングリッシュキャンプ、中3のカナダへの修学旅行、全学年の希望者を対象とするフィリピン・セブ島での語学研修、高1から高3の希望者を対象とするポートランドへの短期留学も実施する予定です。
校舎移転、共学校として踏み出す新たな一歩
来年度、本校は校舎を文京区白山に移すと同時に、共学校になります。長年男子校でしたので、共学化へのハードルは高いのではないかと心配をしていましたが、生徒の中からは「楽しみです」という声も上がっています。また、教員一同、研修を重ねており、スムーズに移行できそうです。
移転に伴い、校舎が変わるということも大きな変化です。新校舎には大きな吹き抜け、幅10mの広い廊下があり、快適な環境で学ぶことができます。図書館には広い窓に面したカウンター席もあります。このほか、300人収容の視聴覚教室は、さまざまなイベントに活用できます。
新たな一歩を踏み出す来年度の中学校新入生が高校を卒業する年は、改革計画10年目に当たります。教育目標の達成に向けて邁進しますので、ぜひご期待ください。
沿革
1899年、京北尋常中学校開校。1906年、東洋大創立者・井上円了先生が、京北中学名誉校長に就任。
1951年、京北学園設立、1988年、東洋大学と教育提携を結ぶ。2011年、東洋大学と合併し併設校に。教育目標は「本当の教養を身につけた国際人の育成」。
(この記事は『私立中高進学通信2014年10月号』に掲載しました。)
東洋大学京北中学校
〒112-8607 東京都文京区白山2-36-5
TEL:03-3816-6211
進学通信掲載情報

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