私立中高進学通信
2014年9月号
The Voice 新校長インタビュー
東洋英和女学院中学部
キリスト教教育の伝統を守り受け継ぎながら
幅広い視野で奉仕の心を育む

石澤 友康(いしざわ・ともやす)
1963年山形県生まれ。東京理科大学を卒業後、1986年に東洋英和女学院に理科教諭として赴任。
学年主任、生徒会担当主任、教務主任などを歴任し、2004年中学部教頭、2007年高等部教頭。2014年4月から中学部長。
日々の学院生活で養う「敬神奉仕」の心
学院標語と2つの聖書の言葉
敬神
心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。
(マルコによる福音書 第12章30節)
奉仕
隣人を自分のように愛しなさい。
(マルコによる福音書 第12章31節)
今年、本校は創立130周年を迎えます。その記念の年に、本校の卒業生である村岡花子さんを描いた連続テレビ小説『花子とアン』のおかげで、たいへん多くの方に注目をいただき、とてもうれしく思っています。ドラマでは本校の雰囲気がとてもよく描かれていて、登場する女学生の、明るく、朗らか、好奇心旺盛で少しおしゃまな様子は、現代の生徒にも通じるところがあり、うまく表現されているなあと感心しました。
こうした校風は、まさに本校の長い歴史を通じて育まれたもので、私自身、こうした伝統を守り、受け継いでいきたいという思いが強くあります。そしてその中心にあるのが「敬神奉仕」という学院標語に集約される、キリスト教教育をベースにした人間形成です。これは、「神様によって自分が愛されていることを感謝し、自分に与えられた個性や素養によって、周囲の人々を幸せにする人間になりましょう」ということです。
その軸となっているのが、月曜日から金曜日まで、毎朝行われる礼拝です。礼拝では聖書を読み、讃美歌を歌い、お祈りをし、先生や友達の話を聞きます。礼拝はクラブ活動の合宿などでも行われます。
中学1年生は、5月に「敬神奉仕」について学ぶ第一歩としてオリエンエーションを行っています。今年は、清里で2泊3日の日程で実施しました。このほか、放課後、奉仕とは何かを学ぶディアコニアという時間もあります。
東洋英和らしさを表す課外教室と英語教育
中学・高校の6年間は、いろいろなものを吸収でき、感じ取れる時期です。だからこそ勉強やクラブ活動、奉仕活動など、さまざまなことに取り組んでほしいと思っています。もちろん勉強はしっかり行いますが、本校ではそれ以外の部分でチャレンジする機会が多くあります。たとえば『課外教室』では放課後にピアノ、オルガン、器楽、英会話、日本舞踊、華道について本格的なレッスンを受けることができます。
英語教育に力を入れているのも本校の特徴です。とくに本校では使える英語を身につけることを目標にしています。英語検定試験の結果を見ると、高校2年生で海外の大学で専門的なことを学べるレベルの生徒が25%程度で、海外の大学にチャレンジできるレベルの生徒を合わせると50%近くにもなります。ほとんどの生徒は、高校を卒業するまでに日常の会話程度はできるようになります。創立以来の伝統と言ってしまえばそれまでですが、英語科の先生の研究熱心さによるところが大きいですね。中学生、高校生とも好きな教科の1位が英語というのも本校らしい結果です。
奉仕の心と英語力を結ぶプロジェクトがスタート
最近、英語教育は国際化教育の意味合いを持つようにもなってきました。本校でも、創立125周年を記念し、バングラディシュに学校を建てる計画に参加しています。昨年は、発展途上国に教育を通して国際貢献するプログラムを生徒にも与えようということで、スーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定申請をし、アソシエイトに選ばれました。活動の主体は生徒会で、昨年夏に5名の高校生をバングラディシュに派遣し、現地で見てきた様子を礼拝時や文化祭などを通じてシェアしました。今年も2名が派遣されます。また、今年から大学院の国際協力研究科の先生の協力の下、ミャンマーのプロジェクトも立ち上げました。このほか、短期留学制度も新たにスタートします。これまで、1年間留学する認定留学制度はありましたが、海外で短期間勉強できる機会を設けようということで、来年1月から3月に実施します。アメリカ、カナダ、オーストラリアの高校に計10名が参加する予定です。
このように伝統を大切にしながら、本校では新しいことにも積極的に取り組んでいます。幅広い視野で物事を見ることを通じて、生徒は大きな財産を得ることと思います。
沿革
1884年、カナダ・メソジスト教会の宣教師マーサ・J・カートメルによって設立。以来、「神から愛されて存在する私たちだからこそ、神を敬い、互いに愛し合い、隣人のために尽くさねばならない」という聖書の教えを受け継ぐ。今年、創立130周年を迎えた。
(この記事は『私立中高進学通信2014年9月号』に掲載しました。)
東洋英和女学院中学部
〒106-8507 東京都港区六本木5-14-40
TEL:03-3583-0696
進学通信掲載情報

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