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私立中高進学通信

2014年8月号

校長が語る 思春期の伸ばし方

東京女子学園中学校

“未来からの留学生”自立した大人に育て上げる

中1の礼法の授業

中1の礼法の授業では、和室でのあいさつのしかたなどを学びます。
美しい立ち居振る舞いや礼儀正しいマナーを身につけておけば、社会人になったときに役立ちます。

生徒は未来から学びに来た"留学生"
實吉幹夫 校長先生實吉幹夫 校長先生
プロフィール
1943年生まれ。学習院大学経済学部経済学科卒業後、民間企業に15年間勤めた後、東京女子高等学校社会科教諭になる。東京女子学園中学校・高等学校副校長を経て、2000年、同校長に就任。2007年、東京都功労者(教育功労)表彰、2010年、港区区政功労者表彰を受ける。

――子どもの成長過程において、思春期とはどのような時期だと言えますか。

 私たちは、生後しばらくは母親と二人きりで密着する時期が続きますが、やがて、父親をはじめとする家族、親戚、友達など、"他者"との関わりが少しずつ増えていきます。そして、いろいろな人と関わりながら、やがて、自分を客観的に見つめるようになり、どんな自分になりたいか、どういう自分をつくっていくかを模索する時期が訪れます。それが思春期です。

 子どもが自立していく過程では反抗期も訪れます。ただし、反抗期という言葉は大人が勝手に付けた名称で、子どもからすれば、意図して反抗しているわけではありません。「自分とは何か」を問い続けるプロセスで生じる現象に過ぎないのです。そのことを周囲の大人がしっかり理解しなければならないと思います。

高1のキャリア学習で取り組む『キャリア・ライフ・レインボーシート』の作成高1のキャリア学習で取り組む『キャリア・ライフ・レインボーシート』の作成。現在と将来の自分の役割をイメージします。

――自己を確立していく子どもに、どのようなサポートが必要でしょうか。

 慶應義塾大学の塾長に長く就いておられた石川忠雄先生が、「学校が預かっている子ども達は、これからの社会を生きるために、今の時代に学びに来ている『未来からの留学生』である」とおっしゃっていました。『未来からの留学生』というのはとてもいい言葉だなと思っていて、私もよく使わせていただいています。その『未来からの留学生』に、将来生きていくうえで必要な知識を身につけさせ、必要な経験をさせることが学校の役割だと思います。

 本校の場合、中学の『進路学習プログラム』では、『自分を知る』『自然を知る』『社会を知る』をテーマに掲げています。そこで得られた知識や培った考え方を土台にして、高校では具体的な将来の夢を描き、その実現に向けて必要なスキルや能力を獲得できるよう指導しています。高校1年から本格的に始めるキャリア学習で、生徒はライフプランを作成し、社会性を身につけたうえで、自分の具体的な将来像を創造していきます。

 また、社会人になったときに求められる礼儀や人づき合いのマナーを身につけるために、礼法を6年かけて学習します。

フォロワーにもリーダーにもなれる人に

――グローバル時代を生き抜くことを意識した教育を行っていますか。

 グローバル社会では、自分が日本人であるというアイデンティティをしっかり持ちながら、他者の価値観や文化を理解する力、他者を認める寛容さが求められると思います。同時に、コミュニケーションツールとしての英語の習得も重要です。本校では、世界の国々の文化と英会話を学ぶためのオリジナルテキストを作成し、独自の国際教育を行っています。

 今、盛んにリーダーシップ教育の重要性が叫ばれていますが、私は、リーダーを育成する教育というものに、それほど関心を持っていません。世の中はリーダーだけが動かしているのではありません。リーダーも大切ですが、リーダーの下でフォロワー(部下)として動く人がきちんと役割を果たしていなければ、組織はうまく機能しないのです。

「リーダーである前に、まず有能なフォロワーであれ」というのが私の考え方です。一方、フォロワーでありながらも、リーダーになれる資質を備えておくことも必要です。この世の中では、フォロワーがいつリーダーに、リーダーがいつフォロワーになるかわかりません。本校の生徒には、将来どんな立場に立たされても、そのポジションで役割を果たせるような人材になってほしいと考えています。

失敗体験をたくさん積ませる
「思春期の育て方」の心得
  1. 反抗期は成長過程の1ステップと考えて静観する
  2. 失敗しても感情的に怒らない
  3. 子どもと語り合う時間を持つ

――思春期の子育てについて、保護者にアドバイスがあれば教えてください。

 最近の子どもは、「いい子でいなければならない」という思い込みが強く、失敗することに臆病ですね。しかし、失敗体験がないと、人は成長しません。失敗して初めて、再び失敗しないためにどうしたらいいのか考えるのです。社会に出てからの失敗は代償を払わなければなりませんが、子ども時代の失敗は許されます。思春期のうちに、大いに失敗しておくべきだと思います。

 ですから、子どもが失敗したときに感情的に怒らないでほしいですね。失敗しても大丈夫という雰囲気が必要です。そのためにも、日頃から親が子どもと向き合って語り合う時間を持つことが求められます。子どもの話に耳を傾け、子どもの考えを尊重し、子どものチャレンジを温かく見守ってください。

オリジナル教科書で“英語”と“世界”を学ぶ
中学1年の『ワールド・スタディ』の授業中学1年の『ワールド・スタディ』の授業。英語で買い物をするゲームを通じて、会話のしかたや外国の通貨について学びます。

 6年間の英会話教育、国際教育のベースとなるのが、同校が独自につくった教科書で学ぶ『ワールド・スタディ』。日常英会話、世界の国々の地理や文化、日本文化など、さまざまなテーマについて英語で学ぶ授業です。iPadやDSを使用したり、ゲームやクイズを取り入れたりしながら、生徒が楽しく英語力、国際力を身につけられるのが特徴。この学びを生かして、オーストラリア3ヵ月留学(高1・2)や、アメリカへの3週間の海外教育研修(高1)にチャレンジする生徒もいます。

(この記事は『私立中高進学通信2014年8月号』に掲載しました。)

東京女子学園中学校  

〒108-0014 東京都港区芝4-1-30
TEL:03-3451-0912

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