私立中高進学通信
2014年7月号
めざせ 次代のグローバルリーダー
武蔵野中学校
他者理解を深め自律心を芽生えさせる
テーマ学習を取り入れた3カ月間の海外留学

LTEの授業では英語での活発なやり取りが自然に行われます。
会話と議論を重視した英語力を育成する

今後さらにグローバル化が進む社会で不可欠な能力が、同校の教育理念でもある「他者理解」です。そのためのベースとなるのが、国際社会において英語で自分の意思を伝え、議論ができるコミュニケーション能力の育成です。
そこで5年前から導入されたのが、外国人の専任講師によるLTEの授業です。Learning Through Englishの頭文字をとったもので、テキストを使用せず、毎回違う1つのトピックを英語で考え、小グループでディスカッションし、英語で発表するワークスタイルで行われています。さらに2年前からは、日本人の教員による英文法の授業が週4時間プラスされ、合計週10時間、6年間で2000時間以上の英語の授業を実施しています。
こうした英語教育の背景には、言語学習の根本を見直した新しい英語教育の考え方があります。本来人がことばを覚える過程は聞き取りから始まることを重視し、英語にふれる学習環境を充実させているのです。
「外国人の教員は専任なので、学校行事にも参加します。林間学校では、丸一日『日本語禁止』の日を設け、魚の解剖を外国人教員が指導するような場面もありました。英語科の教員同士が英語で会話するというシーンも、学校生活の中で数多くあります。
このような英語環境になって感じるメリットは、まず生徒が英語に対してまったく抵抗感がなくなったということです。また、生徒からの質問のレベルも上がってきています。ネイティブの言い回しに耳が慣れているせいか、〝これらの構文は、会話ではどちらが自然なのでしょうか?〟と聞かれて驚くこともありました」
(英語担当/小滝健太先生)
自律へと切り替わる 全員参加の3カ月留学

身につけた英語力を使い、他者理解を深めていく実践の場が海外研修です。中でも注目したいのが、2015年入学の生徒から始まる新たな試み、高校1年生全員参加で実施する3カ月間のニュージーランド海外留学です。
「高校2年生になる直前の3カ月間ですから、大学受験に向けて不安もありました。そこで実際に留学経験のある生徒についてリサーチを行ったところ、その経験によって自ら学ぶ姿勢が身につき、帰国後は学習に対する意識が高まることがわかったのです。理系志望の生徒に関しては、7時間目に補講の時間を設けるなどして、学習サポートを考えています」(同)
留学プログラムは約10週間。最初の1週間は準備期間として現地の語学学校で英語研修を行い、2週間目からは現地校の1学期に編入し、現地の生徒とバディを組んで学校生活や授業に臨みます。現地で学ぶのは、英語だけではありません。多岐にわたるフィールドワーク(テーマ学習)が設けられているのが大きな特徴です。
「留学の目的は自律心を育てることです。生徒たちは1校に多くても3名を振り分け、数校に分かれて現地の学校に編入します。中学3年間、週10時間の英語学習を受けた生徒たちですから、現地でコミュニケーション力を十分に発揮し、他者理解を深め、自信をつけて帰国してほしいと思います」(同)
フィールド・ワーク(テーマ学習)
プログラム | 内容 | |
---|---|---|
ボランティア活動 | 社会福祉活動 | 現地老人ホームなどで介護補助などを手伝う |
動物保護活動 | 動物園や水族館で動物たちの飼育を手伝う | |
環境保護活動 | 専任インストラクターのもとで森林や海洋保護活動に従事 | |
幼児教育補助 | 保育園や幼稚園で幼児教育のアシスタント補助 | |
日本語アシスタント教師 | 現地小学校・中学校・高校の日本語授業でアシスタント教師として 日本文化を紹介 |
|
イベント行事アシスタント | スポーツ大会や大きなイベントで場内整理や清掃などを手伝う | |
プロジェクトワーク | 現地大学訪問 | 現地大学を訪問しキャンパス見学や学部説明・入学条件などを聞く |
スーパーマーケット訪問 | 現地スーパーマーケットを訪問しワークシートをもとに日本との値段や 陳列の違いを学ぶ |
|
バリアフリー訪問 | 現地のバリアーフリー環境の見学や状況を聞き日本のバリアーフリー環境との 違いを学ぶ |
|
社会学習活動 | 公共施設訪問 | 国会議事堂、市役所、裁判所、警察署、消防署などを訪問し制度を学ぶ |
報道機関訪問 | 新聞社、テレビ局などを訪問し現地の社会状況を学ぶ | |
現地企業訪問 | デパート、工場、ホテルなど一般企業を訪問し現地の経済状況を学ぶ | |
アート関係訪問 | IT関係のウェブデザイン会社や服飾関係のデザインショップを訪問 | |
スポーツ施設訪問 | スポーツジムやエアロビクスジムなどを訪問し最新のスポーツ健康学を学ぶ | |
日本企業訪問 | 現地に進出している日本企業を訪問し国際企業としての活動を学ぶ | |
環境保護施設訪問 | 国立公園やエコビレッジなどを訪問し環境保護について学ぶ | |
文化教育施設訪問 | 博物館や美術館、先住民族教育施設(アボリジニやマオリセンター等)を訪問 | |
教科別学習 | 歴史、数学、理科、生物などを現地高校や専門学校で学ぶ | |
1日レッスン教室 | 文化教室 | 音楽、絵画、料理、ケーキ作り、ダンス、陶芸、ヨガ教室など |
スポーツ教室 | テニス、水泳、ゴルフ、乗馬、エアロビクス、カヌー教室など | |
ファームヘルプ | 酪農関係 | 現地牧場で家畜の飼育の手伝いをしながら酪農について学ぶ |
農場関係 | 現地農場で稲作、果樹、園芸の栽培の手伝いで専門農業を学ぶ | |
交流プログラム | 文化交流 | 音楽交流、演劇、生け花、茶道、着付け教室などの紹介 |
スポーツ交流 | ラグビー、バレーボール、バスケット、水泳、テニス、ゴルフを通した交流 | |
多国籍若者交流 | 現地の学生とアジアやヨーロッパからの留学生を交えて学生生活や夢を語る | |
学校交流 | 現地小学校、中学校、高校を訪問しスポーツや文化を通じて現地生徒と交流 | |
日本人講演会 | 留学生講演会 | 現地大学に正規留学している日本人留学生による海外大学生活や夢を聞く |
国際人講演会A | 現地企業、社会福祉団体、航空会社など海外で活躍する日本人による講演 | |
国際人講演会B | 海外で芸術やスポーツの分野で活躍する日本人による講演 |
ニュージーランド研修旅行の3カ月間では、英語研修や現地校での授業の他に、多様なフィールドワークが実施される予定です。様々な人との出会いや活動を通して生徒の心を刺激し、同校の理念でもある「他者理解」を深める機会となります。
(この記事は『私立中高進学通信2014年7月号』に掲載しました。)
武蔵野中学校
〒114-0024 東京都北区西ヶ原4-56-20
TEL:03-3910-0151
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