思考力を問う新潮流!
私学の「適性検査型入試」が育む、
未来を生き抜く力
大学入試改革や新学習指導要領の導入を背景に、私学の適性検査型入試は年々その存在感を増しています。
単なる定員確保の手段ではなく、未来を生き抜く「課題解決能力」をもった生徒を育てるため、各校の教育方針が色濃く反映された入試へとブラッシュアップされています。
本企画では、都内公立中高一貫校の最新受検動向とともに、その教育的価値に迫ります。
2026年度公立中高一貫校の入試状況から考える
2027年度入試の戦略と併願校選び
公立中高一貫校の受検生が
「適性検査型入試」を実施する私立中学を受けるべき理由
[取材協力]中学受験専門塾
稲垣 佑介先生
都内公立中高一貫校の受検倍率は、一時、約7倍に達することもありましたが、現在は落ち着きを見せています。しかし2026年度は、都内の公立中高一貫校11校のうち5校で応募倍率が上昇しました。ここ数年、倍率低下が続いていた状況が変わりつつあると言えます。では、こうした状況下で公立中高一貫校をめざす受検生は、これからどのような戦略で臨むべきなのでしょうか。私立中学との併願も含め、合格を勝ち取るための具体的な対策を考えていきましょう。
公立中高一貫校の倍率低下に歯止め
一部で上昇へ転換
ここ数年、都内公立中高一貫校の応募倍率は低下し続ける傾向にありました。全11校のうち、2024年度から2025年度にかけて応募倍率が上がったのはわずか1校。ところが、2026年度は5校で倍率が上昇しました。これは受検動向の大きな変化と言えるでしょう。背景の一つに、“募集人数の減少”があります。東京都では1学級の定員が40名→38名に減ったため、1学年4クラス編成の学校では募集人数が160名→152名へ減少しました。分母が減るため、応募者が同数でも倍率は上がります。ただ、前年より応募者自体が増えた学校もあり、倍率上昇の理由は“定員減”だけとは言えません。
入試の応募倍率は
二極化が進む
特色として、人気校と倍率が落ち着いている学校との“二極化”が挙げられます。例えば、桜修館中等教育学校や大泉高等学校附属中学校などでは、2026年度入試で応募者が増加しました。その理由の一つが“地域性”です。通学圏内に複数の公立中高一貫校がある場合、特定の人気校に応募が集中し、それ以外の学校は減少する傾向があります。
もう一つの理由は、難関校のイメージが強まった学校が受検生に敬遠されやすくなったことです。例えば武蔵高等学校附属中学校では、2026年度の受検倍率がおよそ2.0倍という低さになりました。もちろん倍率が低いからといって易化したわけではありません。実際には、合格ラインに届く高いレベルの受検生たちが、激しくしのぎを削り合っている状況です。
唯一の区立中高一貫校である千代田区立九段中等教育学校では、区民枠の「区分A」の応募倍率が2倍台半ばへとやや増加。一方、千代田区外からの「区分B」は前年の5倍台から3倍台半ばへ減少しました。この減少は、先述の地域性の影響に加え、都立中高一貫校とは出題傾向が異なるという“対策の特殊性”が受検生に敬遠されたことが原因と考えられます。
学校独自の入試問題には
入学への熱意をもって対策を
今後、東京都の学級定員はさらに減少していきます。もし1学級あたり35名定員になれば、4クラス編成の学校の募集枠は140名まで絞られ、応募倍率はさらに上昇するでしょう。だからこそ、万全な入試対策が不可欠になります。幸い、出題傾向自体はここ数年安定しており、対策は立てやすくなっています。そのなかでも合格の絶対条件として特に重視したいのが、「学校独自問題」の攻略です。
神奈川県立や千葉県立の中高一貫校などでは全校で共通の入試問題が出されますが、東京都は各校が「学校独自問題」を課すため、個別の対策が必須です。独自問題には、その学校の教育理念や求める生徒像が色濃く反映されます。だからこそ、「どうしてもこの学校に入りたい」という強い熱意をもって対策を重ねてきた受検生が有利になるのです。
例えば三鷹中等教育学校では、国語で登場人物の心情を深く考えさせる物語文が多く出題されます。同校の「思いやり・人間愛をもったリーダーの育成」という教育理念を見れば、入試を通じて「他者の立場に立って考えられる生徒」を求めているのは明白です。
公立中高一貫校も私立と同様、早めに志望校を定めて対策を進めることが重要です。

変化してきた
公立中高一貫校の志望校選び
以前は、学校を深く調べずに「とりあえず受検してみよう」というご家庭も少なくありませんでした。しかし現在は、子どもが低学年のうちから私立も含めて検討し、「わが子に合う学校」を慎重に選ぶケースが増えています。 その際、大学進学実績だけでなく、各校の教育理念や校風を重視して志望理由に挙げるご家庭が多数派となっています。
公立中高一貫校には、それぞれ独自のカラーがあります。教育理念や校風、周辺環境などの特色を知ったうえで志望校を決めることが大切です。まずは学校説明会や行事へ積極的に足を運びましょう。お子さま自身が「通いたい」、保護者の方が「6年間通わせたい」と心から思える学校を選ぶべきです。こうした志望校の決め方は、私立中学の学校選びと何ら変わりません。
公立中高一貫校受検生の多くが
私立中学を併願
現在、公立中高一貫校を第1志望とする受検生も、“私立中学を2校以上併願する”ことが一般的です。公立中高一貫校をめざす受検生の多くが、私立中学との併願を選択しています。私立には、公立と同じ形式の「適性検査型入試」を実施する学校が多く、これまでの対策をそのまま活かせるからです。合格チャンスを広げるためにも、ぜひ私立の併願を検討してください。
私立中学の併願には2つのタイプがあります。1つは、公立受検に備えて「合格をもらえる可能性が高い学校」を受けるケースです。多くの子どもにとって、中学入試は人生初の受験。いきなり第1志望に臨むと、緊張で実力を発揮できない恐れがあります。事前に私立を受けて入試の空気に慣れておけば緊張は和らぎますし、最後の最後まで学力を伸ばす大きな原動力になります。合格できたら「次も勝ち取りたい」、合格がとれなくても「次は絶対に悔しい思いをしたくない」と、どちらの結果も本番への起爆剤になるからです。また、私立のなかには、特定の公立校に特化した入試を行う学校もあります。例えば佼成学園女子では“三鷹型”という適性検査型入試を実施しています。こうした第1志望に合わせた出題形式の私立を選べば、個別の私立対策が不要なため、受検生の負担を最小限に抑えられるのが大きな利点です。
第2志望として
私立中学を受験するケースも
私立併願のもう一つのタイプは、公立中高一貫校受検の第2志望として私立中学を受けるケースです。こうした学校は倍率が高めで、合格難度も比較的高いのが特徴です。具体的には安田学園や八王子学園八王子、江戸川女子などが挙げられます。これらの学校は、適性検査型入試で入学した生徒を“ポテンシャルが高く、大きく成長する層”と高く評価しています。小学生のうちに培った思考力や表現力を重視し、入学後もその能力を伸ばそうという教育姿勢があるからこそ、第2志望として選ぶ受検生が増えているのです。
東京の受検生でも、1月に千葉や埼玉の私立校を受験する人は多いでしょう。千葉や埼玉には、東京都立の適性検査問題を熱心に研究し、それに即した入試問題を作成する学校が複数あります。「1月中に確実な合格を確保し、2月1日には第2志望の私立適性検査型入試に挑み、2月3日の本命である公立中高一貫校の受検を迎える」という一連のスケジュールを組むご家庭が増えているのも、近年の大きな傾向です。
公立中高一貫校や
私立の適性検査型入試の対策
“読み取る力”や“考える力”が問われる公立中高一貫校の入試や私立の適性検査型入試の対策は、私立の4教科入試とは大きく異なります。知識の暗記が中心になりがちな4教科入試に対し、適性検査型入試では、必要な情報や資料は全て問題文のなかに用意されています。そのため受検勉強においては、暗記よりも「間違えた問題の徹底的な分析と振り返り」が欠かせません。じっくり時間をかけて解き直しを行い、プロセスを検証するような、“量より質”を重視した学習こそが合格への近道です。
適性検査型入試で求められるのは、主に、「読解力」「思考力」「表現力」の3つの力です。授業では、読み取ったことや考えたことを他者にきちんと表現することを重視しています。また、少人数制クラスを活かし、自分が説明するだけでなく、仲間の意見を聞き、活発にやりとりする経験を重ねます。まずは口頭で伝える楽しさを知り、段階を追って記述で表現できるよう、一人ひとりの力をていねいに磨いていきます。
受検までの道のりは長く、お子さまにとっては初めての経験の連続です。本人の主体性を何より大切にしながら、保護者の方は温かく、しっかりと伴走してあげてください。

2026年8月号特別企画

思考力と総合力をもつ生徒の成長を さらに磨き上げる環境とカリキュラム
江戸川女子中学校

「考える」「調べる」が好きな生徒たち その挑戦に寄り添いたい
共栄学園中学校

広大なキャンパスと恵まれた自然環境のなか 体験重視の学びが生徒のもつ力を伸ばす
共立女子第二中学校

課題発見の意識をもって 主体的に学ぶ姿勢は 探究活動を重視する教育にマッチ
佼成学園女子中学校

適性検査型入試で培った“得意”を“八学”の「探究ゼミ」でさらなる高みへ
八王子学園八王子中学校

記述力と思考力を未来の“伸びしろ”に 多様な入試形態で入った生徒たちと共に成長
文化学園大学杉並中学校

「考えるプロセス」が一生モノの自信になる 自分らしく伸びる、目白研心の新しい入試
目白研心中学校

