高校生にとっての「食」とは、心と体を作り、整える大切な要素です。コロナ禍により各校の“お昼事情”は変わりましたが、貴重なコミュニケーションの場でもある「学食」を、再び賑わいのある場に戻そうとする動きも出てきています。錦城学園高等学校もそんな学校の一つ。生徒のみならず、先生方からも永く愛されている“みんなの学食”について、入試広報担当の鈴木崇史先生と同校OBの井上凌太先生、そして学食チーフ兼料理長にお話を伺いました。
高校生にとっての「食」とは、心と体を作り、整える大切な要素です。コロナ禍により各校の“お昼事情”は変わりましたが、貴重なコミュニケーションの場でもある「学食」を、再び賑わいのある場に戻そうとする動きも出てきています。錦城学園高等学校もそんな学校の一つ。生徒のみならず、先生方からも永く愛されている“みんなの学食”について、入試広報担当の鈴木崇史先生と同校OBの井上凌太先生、そして学食チーフ兼料理長にお話を伺いました。
「バッチリです! 麺の堅さもちょうどよく、スープの油の分量もいい感じです」と根本さんと神谷さん(ともに野球部で高1)
厨房を切り盛りする鈴木チーフ。
オープンは18年ほど前。生徒たちに“温かい食事を”という想いから厨房を備えた学食となりました。
「本校のウリは生徒です」(鈴木先生)という言葉どおり、食事をした後に自主的にテーブルを拭く生徒の姿も見られました。
メニューは全て400円(いずれも大盛は500円)。安くておいしくて、食べ応えのある学食です。
鈴木先生もともとパンやお弁当の販売は行っていたのですが、学校として「生徒たちに作りたての温かいものを食べてもらいたい」という想いから、18年前に学食をスタートさせました。学食を通じて生徒たちが和気あいあいと親睦を深め、午後の勉強や部活動に向けて“頑張るぞ!”と活力を養えるような場所であってほしいと思っています。
鈴木先生コロナ前は定食類もあったのですが、2023年6月に学食を再開させてからは、ご飯が中心の「日替わり弁当」と、日替わりの「ラーメン」「冷やし麺」「汁なし麺」を用意しています。
鈴木先生今週は「本格チキンカレー」「マーボー春雨ご飯」「肉野菜炒めご飯」「台湾まぜご飯」、そして「極うま麻婆豆腐don」です。ちなみに、私はカレーが好きですね(笑)。チキンカレーはもちろんですが、「夏野菜カレー」や「コロッケカレー」など、料理長の鈴木拓チーフが週替わりでアレンジしてくれるので、おいしいうえに飽きないんです。
井上先生はい。当時も今も毎日利用しています。味は変わらずおいしいです。
井上先生在校時から学食は“お昼の家”みたいな感じで、鈴木チーフは父親的存在で気軽に話ができました。そうした点を踏まえて、この学食の良さは料理の腕を含めたチーフそのものです。
鈴木先生井上先生が高校生だった頃もそうですが、今も鈴木チーフは気軽に生徒たちと会話をするんですね。そのなかで「今日もおいしかった!」という声や売れ行き、生徒の好みや嗜好を反映させながら、とてもフレキシブル(柔軟)にメニューを考えてくれるんです。量なども、部活動所属の生徒やよく食べる生徒、ボリュームは抑え気味でいい女子生徒など、生徒の要望を見ながら対応してくれているのも、本校の学食らしさだと思います。
鈴木チーフ学校側から「生徒に温かいものを食べてもらいたい」という趣旨を聞いていましたので、それを大前提に生徒さんの要望や意見を聞いて、いろいろなメニューを提供していくという感じです。
鈴木チーフそうですね。人を雇うとなかなか食材にお金をかけられないので、自分一人で頑張って、その分、例えば肉は国産、野菜はなるべく無農薬のものを選ぶようにしています。あとは、例えばラーメンのスープなどにしても、学食であれば通常はパックのものを使うことが多いのですが、ここでは豚骨や背脂から出汁を取るなど、“なるべく安全でおいしいものを”と考えて作っています。
鈴木チーフ生徒さんが何人訪れるのかわからないので食材の仕入れ(数)もそうですし、食材の原価も上がっていますので、そのあたりのやり繰りは難しいですね。ただ、安価で、味もボリュームも……という生徒さんの要望に応えて喜んでもらうためには、そこは頑張るべきところだと考えています。
鈴木チーフありきたりですけど、喜んでもらうことです。「おいしかった!」とか、そういう声ですよね。誤解を恐れずに言えば、原価的なことを考えると商売として楽ではないのですが、錦城学園の生徒さんは明るくて素直、先生方は優しく協力的で、そんな人たちが食べて喜んでくれる、それがやりがいです。そういう意味において、食を通じた心と心のつながりを大切にしています。
鈴木チーフ価格とか作り手としての“心”の部分だけは、ほかの学食に負けないと思っているので、“手間暇かけて労力を惜しまずに”というところを変わらずモットーにしていきます。一人なので限界はありますが、新しいアイデアを探したり、おいしいものがあると聞けば休日に食べに行ったり、あるいは日頃生徒さんと交わす会話のなかから糸口を見つけたりしながら、生徒さんが喜ぶような遊び心のあるメニュー、例えば一口サイズのサイドメニューなども含めてやっていきたいですね。やりたいことはたくさんあるんです。
この学校の掲載記事をピックアップしました。