駒沢学園女子高等学校では、既存の『進学クラス』『特進クラス』に加え、2024年春に『英語クラス』が新設されます。English Speakerの教員が副担任を務め、原則として生徒全員がニュージーランドなどの海外にターム留学します。同クラスの説明会と体験会が7月8日(土)、受験生と保護者に向けて開催されました。その模様をリポートします。
駒沢学園女子高等学校では、既存の『進学クラス』『特進クラス』に加え、2024年春に『英語クラス』が新設されます。English Speakerの教員が副担任を務め、原則として生徒全員がニュージーランドなどの海外にターム留学します。同クラスの説明会と体験会が7月8日(土)、受験生と保護者に向けて開催されました。その模様をリポートします。
「『英語クラス』の大きな特色は、留学生として約10週間、現地に滞在するターム留学です。高1の3学期に海外へ行き、ホームステイ先から現地校や語学学校で授業を受けます。この留学はグローバルに物事を考える視野を大きく広げる貴重なチャンスです」
と話すのは、英語クラス設立委員会の中心メンバーである教頭の鈴木若葉先生(英語科)です。
「皆さんのなかには、『英語は大好きだけれど、ターム留学はちょっと不安』と感じている方もいるでしょう。そこで今日は、実際に留学を体験した高3の先輩にお話を聞いてみましょう」(鈴木先生)
同校には、『進学クラス』や『特進クラス』の希望者も参加できる海外派遣留学や海外英語研修が用意されています。その一つである3週間のオーストラリア海外派遣留学に参加した生徒が登壇して次のように語りました。
「私は選抜試験に合格してこの留学に参加し、貴重な体験を積み重ねることができました。例えば、オーストラリアの文化や料理についてインターネットで調べれば、多くの情報が得られます。しかし、実際に現地を訪れて体験するのと、ネットで調べたのとでは大きな違いがあります。そのことを実感できたのが、自分にとって大きな成長の糧になりました」
受験生たちは瞳を輝かせて、先輩の話に聞き入っていました。
説明会に続き、会場を教室に移して行われたのが『英語クラス』の体験会です。同校では全クラスの生徒が『Komajo Quest』に取り組みます。これは、将来生きていく上で必要な協働力や発信力を身につけていくための探究型授業です。新たに開設される『英語クラス』には、この学びを英語で行う授業『Komajo Quest English』が用意されています。他者と力を合わせてSDGsの目標達成や国際問題の解決に向けて、自分の意見を英語で発信できる力を英語のコミュニケーション力を鍛えながら身につけていくためのプログラムです。
この日に行われた体験会は、『Komajo Quest English』の入門編で、指導にあたったのはフィリピン出身のリカ・レニス先生と英語科の斉藤麻衣子先生です。学校説明会などで案内役を務める生徒広報部の高校生たちも受験生グループの中に入ってサポートをします。
まず、受験生は英語の“しりとり”を楽しんだ後、レニス先生が書いた英文に目を通します。そこに記されていたのはマニラでの学校生活です。受験生はそれを読み、自分が通う学校の紹介文を英語で書きます。
体験授業の後、この授業の実施目的について斉藤麻衣子先生(英語科)にお話を伺いました。
「今日の授業のコンセプトは『School around the world(世界中の学校)』です。世界の学校について学び、日本の学校と比較して2つの違いを発見し、『なぜ、その違いが生まれたのだろう?』と生徒に考えてもらうことを目的としています。
例えばリカ先生の英文には、マニラの中学校は朝7時30分から夕方4時30分まで授業があると書かれていました。日本の中学とは授業の開始時間と終了時間が大きく違います。終了時間が遅いのは、フィリピンの学校には部活動がないことが理由にあると思われます。
『英語クラス』では、こうした海外の文化や習慣が日本と違う点に気づいてもらうことを出発点としています。そして、世界の諸問題に目を向けて、少しでも力になろうと努力し、解決策を考えられる生徒を育てていきます。自国について知らなければ海外と比較できないため、日本の諸問題への理解も深めていくのです。
また、高1の3学期に実施されるターム留学で有意義に学べるよう、さらに将来、世界の国々の人々と意見を交わすことができるように、英語の4技能だけでなく“発表する”を加えた5技能を磨いていきます。
そのために『英語クラス』では、英語の授業を『Komajo Quest English』を含めて高1で週8時間、高2・高3で週11時間用意しています。なかでも時間を多く割いているのが、『英語コミュニケーション』です。この授業では、English Speakerの教員と日本人教員によるチームティーチングで、特に『聞く力』『話す力』『発表する力』を鍛えていきます。
さらに高2からは大学入試に対応するための授業『Intensive English』も行います。
校長の土屋登美恵先生は、『英語クラス』開設の目的を次のように話します。
「私は英語の教員として何年間も英語を教えてきました。その経験から、日本人は大学も含めて10年間英語を学んでも、十分に活用できていないことに残念な思いを抱いていました。そこで、実際に海外で使える英語を身につけた、“世界で通用する人材”を育てるにはどうしたらよいかを考え、生きた英語を楽しく学べる環境をつくることが重要だと考えたのです。
その環境が『英語クラス』です。このクラスでは原則として生徒全員がターム留学に参加します。説明会で鈴木教頭が述べたように、本校では全クラスの生徒に向けて海外派遣留学などを用意しています。こうした留学に保護者の方々がお子さんを参加させたいと願っていても、生徒が戸惑いを隠せないでいるケースを過去に見てきました。多くの生徒の胸中には留学をしてみたい気持ちが半分、留学をしてみたいけれど不安という気持ちが半分あるのです。
そこで考えたのが、原則として全員が留学に参加するターム留学です。最初は希望制にしようかと思ったのですが、女子の心理には『一人は嫌だけれど、みんなと一緒なら大丈夫』という傾向が見られます。そのため最初から“全員参加”と決めたほうが、生徒は安心して留学に参加できると考えたのです。
高1という時期は感受性が強く、物事を全身で吸収できる年齢です。この時期に海外で学ぶことは、人生の大きな転機となるでしょう。留学先でのさまざまな人々との出会いを通して、『英語をもっと話せるようになって世界中の人たちと交流したい』という意欲が生まれる生徒もいるはずです。『自分がこれまで見てきた世界は、なんて小さいのだろう』と気づき、海外で起きている諸問題を自分事として捉え、問題解決に貢献するためにターム留学と合わせて英語で探究活動に取り組む『Komajo Quest English』を用意しました。例えるなら、傷を負った人に絆創膏を貼っただけで済ませてしまうような治療ではなくて、どうすれば傷つかないか、どうすれば傷が完治するのか、あくまでも自分事として考えられる生徒を育てることが目的です。
『英語クラス』で学んでほしいのは、英語を学ぶことが好きな生徒、海外の音楽や文化、国際問題に関心のある生徒です。英語に自信がなくて『英語を使えるようになりたい』『留学してみたい』という生徒も大歓迎です。英語が多少苦手でも、“好き”という気持ちがあれば、私たち教員が心を一つにしてその力を伸ばしていきます」
時代の変化に対応した新しい女子教育をめざす駒沢学園女子高等学校の今後の取り組みに注目です。
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