岡山県吹屋地区の方とのオンライン会議。この日はパッケージデザインについてアドバイスをいただきました。
パッケージはiPadを使ってデザイン画を考えました。
パッケージはiPadを使ってデザイン画を考えました。
3年生には、次の1年生に向けて「αゼミとはどんなゼミか?」をプレゼンテーションするミッションが与えられています。どうしたらαゼミの内容がうまく伝わるか会議中です。
ディスカッションはいつも和やかです。文系・理系や将来の目標も関係なく高め合える仲間です。
αゼミのファシリテーターとなるのは、数学科の小林慎平先生です。
城西大学附属城西高等学校のキャリア教育は、大学のその先を見据えながら、社会の課題を発見し、課題解決を考え、自己発信するという道筋をたどり自分の興味・関心を発見します。
高2の修学旅行は台湾、ハワイ、国内の3コースでフィールドワークを行い、各コースならではの研修を受け、そこでしか出会えない人々と交流します。たとえば台湾コースでは姉妹校と交流し、理想の国際関係を考えます。ハワイコースでは多様な文化的背景をもつ人々で構成された社会の仕組みや、ハワイ特有の絶滅危惧種について学ぶ機会があります。
この2年半、コロナ禍によって海外への渡航はできませんでしたが、国内コースが東北・北海道と関西地方の2コースに分かれて、それぞれフィールドワークを行いました。
2020年からキャリア教育の一環として始まった「αゼミ」は、課題解決力や社会形成能力を養う希望制の特別講座です。キャリア講演会や社会で活躍する方々の講演をはじめ、外部団体が主催するキャリアプログラムなどにも参加しながら、一人ひとりの将来の選択につなげていきます。
2021年度には日本科学未来館を訪れ、環境、医療、未来、地球、宇宙などの分野から興味・関心のあるテーマを選び、課題を発見し、班ごとに考察してプレゼンテーションを行いました。
「プレゼンテーションを行うために、初めてパワーポイントを使いました。情報の時間にまだパワーポイントの使い方を習っていなかったので、とても難しかったです。それから何回かプレゼンテーションをする機会があったのですが、そのたびにフィードバックを繰り返したので、プレゼンテーションとパワーポイントを使いこなすスキルが身につきました」(高2男子)
プレゼンテーションに役立ったのが、「表現力&質問力講座」です。昨年度は、城西の卒業生でもある起業家を招いて、キャリアに対する考え方やプレゼンテーションにおいて大切なことを伺いました。
さらに、グローバル社会で活躍できる力を養うために、ネイティブ教員による実践的英語講座も開講されています。
今年の高3生が参加したαゼミでは、高2の修学旅行が主要なテーマになりました。岡山県高梁市の山あいの集落、吹屋地区を訪れました。この地区は観光資源の枯渇と超高齢化が村としての大きな課題です。そこ生徒たちは「地域活性化」をテーマに地元の人々と交流し、ワークショップを行いました。
「普段、都心の学校で生活する私にとって、岡山県吹屋地区は見たこともないような自然豊かな場所でした。動物が歩いている姿を見たのも初めてで、感動しました」と、普段の生活とはまったく違う生活環境に驚きを感じた生徒たち。現地では地域活性化に尽力する人たちと交流し、その地域が抱える課題を把握しました。
「とにかく人が少なくて、道を歩いていても高校生には出会いませんでした。なんとか地域を活性化させようと、地元の名産品である唐辛子を使って商品を作ろうと考えたのが入浴剤です。唐辛子にはカプサイシンという物質が含まれているので、体を温める効果があると思いました。今、私たちは入浴剤のパッケージを考えているところです」(Aさん)
吹屋地区は、江戸時代から銅山の町として栄え、赤銅色の石州瓦と紅辛色に統一された街並みが、文化庁から重要伝統的建造物群保存地区の指定を受けています。今回「城西×吹屋地区 商品開発プロジェクト」に全面協力してくださっているのは、ベンガラの“紅”と唐辛子の“赤”を掛け合わせた商品を開発するなど、特産品作りで地域活性化を果たそうとしていらっしゃる佐藤紅商店さんです。高校生たちの拙い部分が残るプレゼンテーションにも真剣な眼差しを向けていただいたことが印象的でした。「入浴剤、本当に作るからね!」現地での佐藤さんのこの一言でプロジェクトが一気に盛り上がりました。 入浴剤のパッケージが完成したら、秋の文化祭で発表・販売される予定だそうです。
αゼミは毎週土曜日の午後に開催されています。高3の参加者は、合気道部、ギター部、吹奏楽部など、クラブ活動と両立させながら3年間にわたってゼミに参加してきました。通常の学校生活に文字通り「+α」となったαゼミの活動を通して、高3生たちは今、どのような将来を思い描いているのでしょうか。
「僕は理系クラスなので、αゼミでは普段接する機会が少ない文系クラスの人と話す機会がもてました。僕は数学の世界に興味があります。文系の友達に数学を教えることがあったのですが、数学の問題を解くのは好きだけれど、教えることにはまた別の難しさがあると実感しました。授業では学べないことをたくさん学ばせてくれたのがαゼミです」(Bさん)
「私は人前で話すことが得意ではなかったので、最初はプレゼンテーションに消極的でした。でも、仲間たちの堂々とプレゼンする姿に感化されてできるようになりました。ディスカッションもお互いの意見を尊重し合いながら進めています。αゼミでは高め合える仲間たちに出会えたと思います」(Cさん)
「私は吹奏楽部でチューバを担当していました。演奏に際しては、舞台袖で顔が赤くなるほどのあがり症でしたが、プレゼンテーションを繰り返すなかで、あがり症が少し克服できてきたと思います。αゼミではiPadを使ってプレゼン資料を作ったり、デザインを考えたりすることもあって、映像制作に興味をもちました。将来は大学のメディア関係の学部をめざします」(Dさん)
「αゼミでの自己PRの練習が、自分に向き合い、自分について理解するよい機会となりました。αゼミをきっかけに、学校外でもいろいろな活動があることを知りましたし、社会で活躍する方のお話は自分の将来を考えるうえでもとても参考になりました。将来は管理栄養士をめざしています。難しい国家資格ですが、食べることも料理を作ることも好きなので、食で人々の健康を支えていきたいです」(Eさん)
社会人となったとき、生きていくために必要なスキルを身につけることが目標のαゼミ。来年度もさらに発展したゼミとなりそうです。
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