本校は、松下村塾で吉田松陰に師事した山田顕義を学祖とする日本大学の付属高校です。山田顕義の理念は、現在も本校の教育において、校訓『自主創造』『文武両道』『師弟同行』として脈々と受け継がれています。
この校訓に基づき、10年後、20年後の社会で活躍できる力を生徒に身につけさせるために、本校は4つの教育の柱として『BIG-I』を据えました。『BIG-I』冒頭の『B』は『Basic(基礎学力・応用力の育成)』です。大学や大学院に進んで、自分の専門性を高めるための土台となるのが基礎学力です。その基礎学力を応用力へと発展させるために、本校では生徒全員が自分専用のiPadを持ち、授業や家庭学習に活用しています。これが『BIG-I』の『I(ICT)』です。教員もアクティブラーニングを研究して、その学びとICTの融合を図っています。
昨年の4月から6月にかけ、コロナ禍で本校が休校になったとき、若い教員からベテランの教員まで全員が自宅にいる生徒に向けて、Zoomによる遠隔授業やメールでの課題添削、また面談や健康管理も行うことができました。
教員たちがこの期間に作成した動画は1,500以上です。本校の『特別進学コース』には、東京大学や京都大学をめざす『αクラス』があり、このクラスの生徒に向けては50分の動画を制作しました。
ほかにもさまざまな形式の動画があり、生徒の勉強が遅れることはありませんでした。むしろ、オンラインで先取り学習をしていた生徒が多くいたほどです。教員も生徒もiPadを使いこなせるように環境を整えていたことが功を奏しました。
昨年はこのコロナ禍に加え、大学入試改革が行われ、新たに大学入学共通テストが導入されました。生徒の多くが大学受験に対して不安になっていたはずです。そこで、教員たちはどうすれば生徒が安心して勉強に打ち込めるかを活発に議論しました。授業が再開してからも生徒の様子をよく見て、モチベーションを上げるために課題を出すなど、ていねいなサポートを心がけました。
そして「強気で受験しよう!」と生徒を励まし続けたのです。こうした面倒見の良さが2021年春の東京大学4名合格、医学部医学科14名合格という結果に結びついたのだと思います。
この面倒見の良さは本校の伝統です。そんな伝統にならって私も、全校生徒の顔写真を載せたファイルを手元に置いています。写真の下には、担任から聞いた生徒一人ひとりの近況を記して、把握できるようにしています。そして生徒と廊下ですれ違ったときなどに、声かけをしたり、時間があれば校長室に呼んで話を聞いたりしています。
本校では、このように全教員が心を一つにして、生徒を見守りながら自立を促し、必要なときには手を貸すようにしているのです。