高校入学時にすでに、自分の好きな分野、こだわって深堀りしたいことがある生徒に選んでほしいのが、『自己発信コース』です。
同コースの特徴は、探究の時間が他コースよりも多いところです。探究活動はPBL(Project Based Learning=問題解決型学習)が軸となります。自分の好きなことをとことん研究・探究した結果は広く発信して、社会に貢献できるものになるはずです。そのような発信力の基礎を作るために、情報発信や自己表現のスキルを学ぶ時間を設定します。自分の研究におけるエビデンスのとり方やリサーチの手法も大切なスキルです。ディスカッションのルールや技法を身につけたうえで、きちんと発信できるプレゼンテーションの方法論や形式も学びます。
自分の研究を発信するためには、言語面でのスキルも必要です。グローバルな情報発信ができるように、英語でプレゼンテーションができるまでの言語力も想定しています。
また、各教科の授業でもPBLを中心に展開します。たとえば数学の「負の数」について学ぶとき、その定理を暗記するのではなく、「なぜ負の数が必要なのか?」を体験的に学び、ほかの人とも情報を共有しながら自分ごととして知識を深めます。
『自己発信コース』の必要性は、一つのことにこだわり、自分の進路を切り拓いてきた卒業生たちが証明しています。たとえばお菓子にこだわって探究・研究し、慶應義塾大学の大学院まで進んで在学中に起業した卒業生がいます。彼女がお菓子にこだわったのは、「お菓子はみんなを幸せにする。たとえ世界の恵まれない地域の子どもたちであっても、お菓子を食べている顔は幸せに輝いている」という思いからでした。
また、カマキリにとことんこだわった生徒は、家でカマキリを何万匹も孵化させて研究し、図鑑には載っていないカマキリの生態を発見しました。その生徒は「なぜそんなものが好きなの?」と言われることなく、自由に深堀りをして素晴らしい発見をし、人の心に訴えるプレゼンテーションをしました。
『自己発信コース』は、「何でそんなことにこだわるの?」と言われないコースです。自分のこだわりが、みんなの常識と違うからといって諦めずに探究してほしいと思います。ときに「こだわり」は、大学受験とは無縁のところにあるかもしれません。でも、自分のこだわりを追究した結果は、その人が生きるうえで大切な財産となるはずです。