
跡見学園女子大学文学部国文学科卒業。1981年4月、新卒で下北沢成徳高等学校の国語科教員として教壇へ。以降、女性目線で生徒一人ひとりの大学進学からその先の活躍を応援し続けてきた。2020年4月、長く務めてきた教頭職を後進に譲り、校長に就任。
2020年度から校長職を務める平野昌子先生にお話を伺います。
平野校長私は大学卒業と同時に下北沢成徳の国語科教員になりましたので、他校のことはまったく存じ上げません。しかも、高校も大学も女子校出身ですので、いつも「本当にこれでいいのかな?」と、いろいろな意味で自問自答し続けているのです。
そんな私には誇れるものが一つあります。それは本校で学ぶ生徒たちのことです。穏やかで、やさしくて、常に他人を大切にしています。他校から来られた先生方に本校の生徒の印象を伺うと、「本当に穏やかですね」と言ってくださいます。うれしいですね。
下北沢成徳の教員になった当時、各学年の学級数はそれこそ10クラスもあるような、多くの生徒が集う女子校でした。今は少子化の流れのなかで、規模は小さくはなりましたが、昔も今も変わらないのは、生徒たちの言葉を借りれば、「先生との距離が近い」ことであり、私自身も「面倒見の良い学校であり続けよう」と、そんなふうに思ってやってきました。他校のことをまったく知らない私が言うのもおかしいかもしれませんが、下北沢成徳は生徒一人ひとりとていねいに向き合う学校なのです。
平野先生が女子校の先輩として、さらには女子校の教員として、これまで心がけてこられたのは何ですか?
平野校長たとえば、担任として常に生徒たちに言ってきたのは、「嫌なことは嫌と言える人になりなさい」というものです。私が教員になりたての頃、仮に生徒に進学したいとの思いがあったとしても、面談の場で保護者から「女子は就職でいいんです」というような、そんな言葉が返ってくることも珍しくなかったからです。「あなたは本当にそれでいいの?」と、心の中で生徒に問いかけるなかで自ずと口にするようになったのが、「嫌なことは嫌ときちんと言える人になりなさい」だったのです。
今はほぼ全員が上級学校への進学を考えており、とりわけ四年制大学への進学率は年々高まってきています。だからといってその結果に満足するだけではなく、自分の将来のことは自分で決めることができるような、そんな体験をできるだけ数多く、高校3年間でできるプログラムを積極的に取り入れてきました。その特徴的なものが、『進学コース』の生徒向けに実施してきた2年次の『PLUS ONE PRPJECT』であり、『国際コース』と『進学コース』で展開してきた高1からの『企業探究』です。
どちらのプログラムも、卒業していく生徒たちから、「とても楽しかった」「進路選択の幅が広がった」「将来の自分を見つめるきっかけになった」と、高く評価してもらっています。どちらかと言えば手探り状態のなかで試行錯誤してきたものばかりですが、卒業生の言葉によって、それは私たちの確信となりました。これからの下北沢成徳が進むべき道が、より明確になったと私たちは捉えています。