東京家政学院高等学校で2019年度からスタートした「探究プログラム」は、国連サミットで採択されたSDGsを題材に進められています。SDGsとは、持続可能な世界を実現するための17の目標であり、“地球上の誰一人として取り残さない”ことを原則としています。
東京家政学院の建学の精神である「知識(Knowledge)を高め、技術(Art)を磨き、徳性(Virtue)を養う」は、SDGsの17の目標達成のためにも必要となる精神です。「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」など、高校生には取り組むことが困難に見える目標でも、身近な生活の中に課題を見つけ、それがSDGsの目標達成と結びついていることを知り、社会問題を“自分ごと”として捉えるのが目的です。
新型コロナウイルスによって健康、教育、経済などさまざまな面で世界中の人々が深刻な影響を受けた2020年、SDGsをテーマの中心に据えた探究活動は、生徒たちにとってより身近なものとして捉えられたようです。
「2020年度の探究プログラムは、身近な人々がコロナ禍によってどんなことに困っていて、それをどう解決するかを考えるところからスタートしました。
本校は東京家政学院大学の併設校であり、大学の現代生活学部では衣食住を大切にするための学問を学びます。そこで今回は、併設大の学生にもアドバイザーとして参加していただき、探究活動をより深めることができました。
休校中は金沢工業大学が開発した『STAY HOME for SDGs〜おうちで取り組む17日間SDGsチャレンジ』に参加して、SDGsを体系的に学びました。学校が再開すると、パラスポーツである『ボッチャ』や視覚障がい者体験を通じて仲間づくりを始めました。探究活動には仲間との協働が必要となりますが、それ以上に休校中難しかった友達づくりの場を少しでも設けるためでした。
7月になると、東京家政学院大学の学生も参加して、アイデアの出し方や必要な情報の調べ方などを指導してもらいました。10月には国語と英語の授業でSDGsのターゲットのキャッチコピーを日本語と英語で作り、国語科ではSDGsカードゲームクロスを用いたトレードオフの学習も実施しました。トレードオフとは、何かを達成するためには何かを犠牲にしなければならないという関係のことです。『誰一人として取り残さない』を目標としたSDGsの各ゴールを達成するには、トレードオフの考え方を学ぶ必要がありました。
2学期の終わりには、『SDGs基礎探究中間報告会』を行いました。生徒たちは『世の中には答えのない問いがあるのだ』ということに気づき、少しずつ視野を広げています。3学期にはいよいよ、身近な人が『困っていること』や社会のシステムが、SDGsのどの課題と関わっているのかを深く考えていきます」(SDGs担当・国語科/児島豊先生)
SDGs基礎探究中間報告会には東京家政学院大学の学生と共に、現代生活学部の教授やSDGsアドバイザーの外部講師の方から講評をいただき、ユネスコアジア文化センターの方の講演を聴きました。『女子校である東京家政学院高等学校だからこそ、ジェンダーの平等について考え、社会全体に活用できることがあるはず。身近なところから考えて、まずは行動してみよう』という励ましを受けて、3学期の探究活動が始まります。