コロナ禍の中、授業や部活動がほぼ通常に戻った11月、校長室に高校1年生が集まってきました。
「4月から課題やスタディサプリに取り組み、6月からは分散登校が始まりました。電車通学の生徒が多かったので、最初は40分間の短縮授業での再開です。
部活動は6月の中旬まで実施できず、大会が始まった部から徐々に再開しました。体育祭は中止となりましたが、学園祭は文化部のみが動画配信する形で行いました。海外研修もどうなるかわからない状況で、オックスフォード大学への短期留学は2021年3月に延期としました。
2020年度入学の高1生は、例年にはない学校生活の中、どのように感じているかが気になります。今日は生徒たちの思うままの意見を聞いてみたいと思います」(井上実校長)
中学からの入学生A組と高校からの入学生B組の4人が校長先生を囲みました。
井上校長2020年は新型コロナウイルスの影響で新学期が休校から始まりました。まずはA組の2人、オンラインで授業をするとなったとき、どのように感じましたか?
佐野(柊)さん僕は友達と会って一緒に勉強することが楽しかったので、最初は「嫌だな」と思いました。オンラインだと友達の顔が見られないですからね。
山下さん正直なところ、最初は学校が休みでうれしいと思いました(笑)。でも4月になって、友達と話したり部活動をやったりという日常は、当たり前ではなかったのだと思うと、休校は残念でした。
井上校長本当にその通りですね。学校の本質は、人と交わって、良いことも悪いことも経験しながら乗り越えていくものですから。
本校は本格的にオンライン授業に取り組みましたが、オンライン授業はどうでしたか?
山下さん新鮮な気持ちもありましたが、戸惑いもありました。動画が見られないというトラブルもあって、不安に感じたこともありました。
佐野(柊)さん僕は授業の動画を何度も見返せたことが良かったです。動画は自分のタイミングで視聴できるのが良い点です。
井上校長高入生の2人は、3月下旬に登校日があり、課題が配付されてスタディサプリの説明もあったと思いますが、正直な気持ちどうでしたか?
鈴木さん3月頃から、きっと休校になるだろうと思っていたので、気持ちの準備はできていました。でも、やはり対面授業がいいなと思いました。友達とまったく顔を合わせていなかったので、早く通常に戻ってほしいと強く思いました。
佐野(亮)さん僕も入学式がなくなってしまうのは仕方ないと思っていました。僕は周りに人がいないと勉強に集中できないタイプなので、早く対面授業を受けたいと思いました。
井上校長いろいろ不安があったことと思います。先生方は職員会議を重ねて、生徒の心にどのように寄り添っていこうかを話し合っていました。オンラインで実施した「二者面談」はどうでしたか? 担任の先生の印象は?
佐野(柊)さん担任の山田先生は中学から一緒なので、とても心強かったです。
山下さん卒業式が終わってから、担任の先生とずっと顔を合わせられなかったので、二者面談で先生の顔を見て不安が和らぎました。
井上校長高入生にとっては、どの先生とも初対面だったけれど、担任の先生の印象はどうでしたか?
鈴木さん中畑先生は写真で見るよりも“イケメン”でした(笑)。さわやかな先生だなって思いました。
佐野(亮)さんしっかりと寄り添ってくれそうな先生だと期待感が持てました。
鈴木さん学習面での不安はなかったけれど、やはり友達や先生と早く顔を合わせて話したいと思いました。
井上校長授業はわかりやすかったですか?
鈴木さん化学と英語のオンライン授業は、とてもわかりやすく、楽しかったです。
井上校長さまざまな行事が中止になったり、形を変えて実施したりしていますが、皆さんはどう感じていますか?
佐野(柊)さん体育祭や学園祭を楽しみにしていたので、中止は本当に悲しかったです。
山下さん入学式は高校生活のスタートなので、参加したかったです。行事の中では体育祭を楽しみにしていたので、中止はとても残念でした。
佐野(亮)さん説明会に参加した際に聞いていた体育祭を楽しみにしていました。体育祭はほかのクラスの人とも仲良くなれる機会だとも思っていたので……。
鈴木さん行事はクラスの団結力が強まると思っていたので、中止は残念でしたが、先日、やっと競技大会が開催されて、これはとても嬉しかったです。
井上校長そうですね。先生方は行事についてどう感じていますか?
中畑先生行事はクラス全員が目標を持って切磋琢磨し合える大事な機会です。一人ひとりが成長できる場でもあるので、中止は残念でした。先日、開催できた競技大会は貴重でした。彼らが一生懸命に取り組める場をどんどん作っていきたいと思っています。
山田先生行事は一つひとつに大きな意味があります。高1の最初には校外学習があって、友達との絆を強めるのですが、クラス作りをする機会が失われたことは、とても残念でした。
A組とB組は2021年度から混合クラスになるので、何かのきっかけで交流する機会を作ろうと、中畑先生とも話しています。
幸いなことに、A組とB組は「探究」の授業で一緒になりました。混合班を作ってプレゼンテーションも経験できました。クラスに関係なく、協働する姿が見られました。
井上校長高入生と中入生は、最初から違和感なく仲良くなれたかな?
佐野(柊)さん最初は不安でした。
山下さん僕は人見知りなので、慣れ親しんだA組の友達とは大丈夫だけど、高入生のB組の人と友達になれるか、最初は不安に思っていました。
鈴木さん僕にしてみれば、A組もB組もみんな初めての友達なので、最初から普通に会話していました。
佐野(亮)ホールに模試の結果が張り出されていて、成績上位者がA組ばかりなので、「ついていけるかな?」という不安はありました(笑)。
井上校長勉強はコツコツと努力を続ければ、誰でも伸びますからね。B組はA組を追い越すチャンスはいくらでもあります。ただ、高入生がすでにできあがっている中入生の「世界」に入っていくことは難しかったのかな?
鈴木さん僕の中学時代にも、そういう「世界」はあったので、中学とは違うと思ったけれど、その世界に慣れていこうと思いました。
山田先生部活動が始まったので、クラス間の交流が増えてきました。
井上校長部活動は学校生活において大きなウエイトを占めると思います。皆さんはソフトボール部、あるいはハンドボール部に所属していますが、部活動はどんな様子ですか?
佐野(柊)さんまだ練習の日数が少なくて……もう少しやりたいと思っているところです。でも、少しでも部活動ができて嬉しいです。
山下さんソフトボール部は再開が遅かったけれど、久々に練習したときは「もっとやりたい!」と強く思いました。
佐野(亮)さん中学時代は野球部で、かなりハードに練習していたので、運動しない期間を経て部活動を再開したときは、身体がまったくついていけなかったです。もっと練習しないと以前の感覚が取り戻せないと思いました。
鈴木さんハンドボール部の練習で不自由だったことは、接触する練習に制限があったことです。でも、一番不安だったのは、ハンドボール部の1年生は高入生が自分だけだったこと。「みんなの輪に入っていけるかな?」と不安だったけれど、みんなが声をかけてくれたおかげでだいぶ馴染めました。
井上校長ソフトボール部は試合に参加したようですが、結果はどうでしたか?
山下さん初戦で負けました(苦笑)。
井上校長気にすることはないですよ。堂々としていればいい。私は常々、部活動の価値は勝ち負けではないと思っています。それよりも仲間を作ったり、自分の壁を乗り越えたりすることに価値があると思っています。だから思いきってやってください。ハンドボール部はどうでしたか?
鈴木さん2年生の新人戦があって、気合の入った先輩たちがカッコ良かったです。刺激を受けました!
井上校長最近、新型コロナウイルスの感染者が増加しています。これから再び休校になることも考えられますが、皆さんはどう乗り越えていったらいいと思いますか?
佐野(柊)さん僕は今まで通り、消毒や手洗い、うがいをしっかりやっていけば大丈夫だと思います。
山下さん僕も同じです。自分がしなければならない感染症対策を、これまで通り継続していくべきだと思います。
佐野(亮)さんアルコール消毒のボトルがクラスの前に置いてありますよね。1日が終わったら机などを消毒しているので、それを継続していきたいです。
鈴木さん休校が明けた頃に比べたら、少し意識が低くなっているかもしれません。もう一度、気持ちを引き締めたいと思います。
井上校長皆さんの意識の高さに感謝したいです。ありがとう。生徒の協力が得られていることを認識して、これからも感染症対策をしっかりやっていこうと思います。先生方はどう感じていますか?
中畑先生私は理科の教員なので、実験室の入退出の際に手の消毒をルールとしています。マスクやフェイスシールドの着用も徹底していますが、忘れた生徒でも必ず「貸し出し用のフェイスシールドをください」と声をかけてくれます。
部活動でも部員同士が声をかけ合って、感染症対策を徹底しています。みんな自分のやるべきことを認識しているのだと感じますね。
2020年はいろいろな制限があって、できなかったこともあるけれど、まずは2020年度に「足立学園に入って良かったな」と思える1年にしたいと思います。
山田先生4人が話してくれたように、意識を高くもって感染症対策を徹底することで、学校生活を通常通り続けることができると思います。これからどうなるかわからないけれど、オンライン面談や動画配信など、今回の経験を次に活かせるように準備しておきたいですね。
校長先生休校が決まって先生方に、「オンライン授業をやってください」とお願いしたとき、「無理です」という先生は一人もいませんでした。むしろ「よし、やるぞ!!」という熱を感じて感動しました。生徒にも不満はあったでしょうが、休校期間はむしろ一体感を感じることができたかもしれません。
授業が再開したときは、みんなイキイキとしていましたね。みんなでなんとか乗り越えてきたのは、すごいことです。このような経験はとても貴重です。この経験を活かして、充実した学校生活を送ってください。
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