SSHの取り組みは、自分の好きなテーマについて幅広い知識を得るだけでなく、まず仮説を立てて情報を集め、参考文献を読み、現場に行ってインタビューなどをしながら考察し、結論をまとめて発表する活動です。
私が選んだテーマは「幼児虐待」です。理由は自分の身近で起きた幼児虐待事件でした。虐待された児童は自宅近くの児童相談所に預けられていたのですが、その後の対応が不適切なものとなった結果、亡くなってしまったと知ったとき、自分のすぐ近くに児童虐待の闇が潜んでいることを知ってショックを受けました。私は演劇部に在籍しているのですが、県大会に出場したときに、他校の演劇部がこの事件を題材に劇を創作していたことも、探究のきっかけになりました。
最初は担当の先生のアドバイスに従って、親と子、どちらの目線で探究するかを考えました。私は親目線に立って、「子どもを虐待する原因はストレスである」という仮説を立てて調べ始めました。2020年の春はコロナ禍によって、関係する場所へ行って調べることはできなかったので、さまざまな論文を読み、インターネットを検索して情報を得ました。それでも結論が出なかったので、「虐待する親としない親の見分け方があるのかどうか」に軸足を移しながら論文を作成しました。
論文の文字数は8000字以上と決まっていますが、それを優に超えるものとなりそうです。2月にはパワーポイントで資料を作って発表します。
探究活動を始める前は、「虐待を受けている人はかわいそうだ」という感情だけがありましたが、深く調べて論理的に考えると、虐待する側にも言い分があったり、家庭環境が影響していたりと、さまざまな要因が複雑に絡み合っていることがわかりました。世の中で起きている問題を解決するためには、感情に動かされるだけではなく、根本的なところに取り組む必要があることを痛感しました。
自分も将来、親になる可能性があります。そのとき、虐待のない社会であってほしいと思います。そのような問題を解決するために、将来は心理学を学びたいと思っています。