サッカー部OBで監督の海老沼先生。在学中にU16、U18代表、順天堂大学時代はバルセロナ五輪代表候補に。
通常練習は16:00から18:30まで。その後は自主練習で各自の課題と向き合います。
グリッド練習。プレッシャーのかけ方、相手守備の崩し方、ポジションのとり方などを脳と身体に染み込ませます。
腕の使い方や競り合うときの足の使い方など、海老沼先生の細かな技術指導には「気づきが多い」と話す部員たち。
「一人ひとりが学校を代表する生徒。その自覚を部員たちは持ってくれています」(海老沼先生)
フィジカルを強化するトレーニングのグッズの一つにゴムチューブがあります。ゴムの特性を活かして上半身、下半身、体幹から体の部位までさまざまな部位を鍛えることができます。
2016年、全国高校サッカー選手権でベスト4(3位)の実績を有するサッカー部のモットーは、『堅忍不抜』(我慢強く堪え忍び、意志を貫く)。めざすのは、「サッカー選手というよりも、一人ひとりの人間性の向上です。高校生として、しっかりした生活習慣や、思いやりの心を学んでほしいと思っています」と監督の海老沼秀樹先生(体育科)は話します。
それは気持ちの良いあいさつや、感謝の気持ちを持つといった心がけに始まります。
「グラウンドは2020年8月に新しい人工芝に張り替えられたのですが、学校側が環境を整えるのは当たり前のことではなくて、これまでの先輩たちの積み重ねや周りの人たちの理解と協力があってのことであり、コロナ禍の活動自粛を経て活動ができるのは、保護者の協力があってこそ。今までは普通に日常生活を送れることが当たり前と思っていたかもしれないけれど、それは決して当たり前ではないということを部員たちに伝えています」
そうした感謝の気持ち、周囲への思いを部員一人ひとりが実感するためにも、“一日一日を全力で、一つひとつのプレーを大切にする”ことを求めていると海老沼先生は言います。
「3年間、1日2~3時間という限られた時間の中で素早く行動することや、毎日取り組んでいるウォーミングアップもおろそかにせず、毎日の積み重ねをしっかりすること。そうしたこともすべて自身の成長につながっていくのです」
練習メニューはパス、キック、ドリブルなどの基本練習や、テーマを決めたグリッド練習、そして最後にゲームを行うのが主な流れ。すべて大切なメニューですが、なかでも少人数でのパス回し、ボール奪取を行いながら、その時々のふさわしいポジショニングを意識・確認し、攻守の切り替えの質を高めるグリッド練習には高い集中力が求められます。そして、この攻守切り替えこそが佐野日大の最大の武器。伝統の堅守速攻のサッカーを体現する大切な要素となっているのです。
現在、部員数は155名の大所帯ですが、練習はA・B・Cの3つのカテゴリーに分け、さらにカテゴリー内でグループを形成して複数のグラウンドを使用して行われます。その質の高さと密度の濃さが、2時間30分という練習時間を可能にしているのでしょう。
「3年生がお手本になってくれているので、下級生は練習でも自覚を持って取り組めていると思います」と海老沼先生がいうように、技術の向上と人間性の涵養を掲げるサッカー部は、部員たちの高い意識を形成しているのです。
宮下くん中学生のときに選手権で佐野日大の試合を見て、相手ボールをディフェンダーが全部跳ね返すところに強さと魅力を感じ、進学しました。サッカー部は、1年生のときから大会に出場できるなど、堅守速攻のサッカーで全国をめざせる環境が整っていると思います。
副キャプテンという立場になって周りに意識が向くようになり、「チームとしてどうすればいい方向にもっていけるか」ということを考えて発信できるようになりました。グラウンドを人工芝に張り替えるなど、抜群の環境でサッカーができるのは、佐野日大の強みだと思います。
平賀くん強い選手が多く、佐野日大の高いレベルの中で「自分も切磋琢磨できるのではないか」と考え、文武両道を掲げている学校で学力面でもがんばりたいと思って進学しました。部活動では、個人としてレベルアップしながら高校生活最後の大会に臨めるという意味でも、佐野日大を選んで良かったと思っています。
海老沼先生からは日々レベルの高い指導が受けられていて、新しい発見もあるなど、充実しています。また、部活動を通して人が嫌がることを率先してやるとか、まずは“人のために”という考えを持てるようになるなど、人間的にも成長できているのを実感しています。
2020年8月、サッカー部のグラウンドが人工芝に生まれ変わりました。新しい芝はJFA対応で、高性能なウレタンパッキングを採用するなど、高い品質を誇る全天候型。「土だとどうしてもバウンドが変わったりするのですが、人工芝はそれがないので集中して取り組めます」と平賀くんが言うように、部員からの評判は上々です。
また、この人工芝はViuシステム(散水機能)を搭載、粒状の水を効率良く散水することで表面温度の上昇をおさえ、夏場でも快適な環境を実現しました。「今までとまったく違います。普段からこういう環境で練習できるのはすごくいいことだと思います」(宮下くん)。
グラウンドには照明設備も完備され、リニューアル以降はグラウンド整備にあてる時間も大幅に短縮、さらにはリーグ戦会場にもなるなど、多くのメリットを生み出しています。
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