1㎏弱の特殊な縄跳びやメディシンボールなども取り入れ、身体をほぐし、体幹を総合的に鍛えます。
バレーボール部や文化部からの転向組も含め、高校から競技を始める部員も少なくないそうです。
練習は週5日。校庭、奥戸陸上競技場、江戸川陸上競技場などを使用しています。
試合でのパフォーマンスは表現力でもあります。その表現力を磨くために行うのが普段の練習なのです。
「真面目に練習するだけでなく、みんなと楽しむこと、メリハリをつけることも大切にしています」(平石先生)
高校3年間で多くの選手が自己記録を更新し、都大会に出場する選手も増えてきている陸上競技部は、同校の校訓でもある「ネバーダイ」を部訓に掲げています。「ネバーダイ」とは「目的・目標に向かってやり抜く意志と行動力」を有し、「自分自身に向き合って、打ち克つ精神力」を意味する言葉です。
「陸上の場合は、数字でいえば記録という明確な目標があるので、その記録を伸ばすという意味でとてもやりがいがある一方、怠ければそれなりの結果しか出ない側面もあります。そういう意味では、まさに自分との向き合いかた次第で、自分を成長させることができる競技だと思っています」(顧問・保健体育科/平石先生)
練習では学校のグラウンドと校外の陸上競技場を利用しています。グラウンドで行う場合は各種ハードルを利用したウォーミングアップに始まり、フォームを作るために股上げなどの基礎運動を反復するトレーニングや各種目の技術系トレーニング、学校周辺のアップダウンを利用したダッシュ、さらにはウエイトトレーニングなどを行います。競技場を利用する場合は、たとえば短距離であればスタートダッシュや加速走、そして各種目の専門練習といった実戦的メニューが中心になります。
部員は男女合わせて12名。「強豪校と比べると少人数ですが、その分、きめ細やかに見ることができているのでは」と話す平石先生。練習を行ううえで1~2週間分のメニューを部員たちに配布し、取り組む内容を明確にしているそうです。
「何をするかが把握できていると、そこに向けて気持ちを作りやすいと思うのです。ただ、部員たちがその時々で取り組みたいメニューなどを加えられるように、あまり細かな内容にはしていません。勉強や進路選択も同じですが、私たち指導者側が事細かに取り組むべきことを教えるのではなく、自分で考えて自分で決める習慣をつけてもらいたいというのがその理由です。そのなかでいろいろ感じながらやるべきことを考え、疑問に思うところがあれば質問して実行に移していく、という方針をとっています」
自分の考えや思いを付け加えることで、自分自身の行動に対する責任が生まれ、それらの積み重ねによって、大会などで自分たちの目標が達成できたときの充実感や達成感は大きくなります。そして、それが「ネバーダイ」の精神を作り上げていくうえでの大きな礎となるのです。
中学生のときに抱いた陸上競技部の印象は、先輩が笑顔で接してくれるなどやさしく、練習の雰囲気もすごく明るいというもので、その印象は入部してからも同じでした。先生によく言われることは“周りの人への感謝”です。部活動を通して成長できたところは、その「感謝」の意味に気付けたことだと思います。
また、先生の指導によって練習時などに意識するところも変わってきました。タイムは上がり、フォームもきれいになり、“走れる”ようになったと感じています。キャプテンとなった今後は、みんなから信頼してもらえるように普段の練習から本気で取り組んで、後輩をしっかり引っ張っていきたいと思います。
ヒップホップやR&Bなどジャンルはさまざま。オリジナルの振りで自分たちのステージを作り上げます。
小野澤コーチが初心者と経験者のバランスをとりながら練習を行っています。
「この3年間で部活動が一番の思い出になってほしい」と指導にあたる小野澤コーチ。
1年生が10名入部し、より活気が出てきたダンス部活動。活動日は週3~5日。学校の教室をスタジオ代わりにしています。
二人三脚でダンス部を牽引したキャプテンの眞田さん(左)と副キャプテンの村井さん。
ヒップホップやR&Bを踊る同好会からスタートし、部に昇格したのが2年前。キャプテンの眞田さんと副キャプテンの村井さんが2年生のときでした。顧問の渡部先生(商業科)は当時をこう振り返ります。
「まずは部活動としてしっかり成立させること。それと、ダンスは本番でメイクをしたりスタイルも派手だったりしますから、周りから浮ついていると見られることもあります。だからこそ普段の学校生活や身だしなみなどは、ほかの生徒以上にキチンとしていこうと。まずはそんなところからのスタートでした」
ただ、当初は3年生の部員がおらず、眞田さんたち2年生が部内の最上級生になったこともあり、活動そのものは順風満帆ではなかったと言います。
「みんながなかなか言うことを聞いてくれなかったり、取り組み方にも温度差があったりしました。もともと“楽しくやりたい”と思って入ったダンス部なのに、それができない。そこでいろいろ考えて、ミーティングなどでこちらから伝えたいことや気づいたことをしっかりと伝えてミュニケーションを図ったり、一緒にいる時間を長くすることでまとまりが生まれたりと、少しずつわかり合えるようになりました」(眞田さん)
コミュニケーションが円滑になることで練習に取り組む姿勢も前向きになり、そこから生まれた一体感がパフォーマンスを向上させるという好循環が生まれました。残念ながら飛躍をめざした2020年度のダンスコンテストはコロナ禍によって中止となりましたが、周囲の協力もあり、「京華祭(学園祭)」でのラストステージを無事に迎えることができました。
「最後のステージは『もうこのメンバーで踊れなくなるのか……』という思いから、踊りきった爽快感よりも悲しい気持ちのほうが強かったです。みんなで楽しく踊ることができる部になったことを実感しました」(眞田さん)
そんな同部の練習は週3~5日。ストレッチに始まり、ダンスに必要な筋トレ&体幹トレーニング、身体の各部分を独立させて別々に動かすアイソレーションを行います。また、イベントが近くなればコーチと一緒に振りの練習などを取り入れます。今後に見据える現在の目標は何なのでしょうか。
「自主公演です。来年は自分たちで企画から設営・照明などのセッティングまでできるような公演を行いたいと思っています」(渡部先生)
部に昇格してから2021年で3年。紆余曲折を経ながら、かたちを作り上げてきたダンス部。その挑戦は今始まったばかりです。
めざしているのは、みんなから愛されるダンス部です。先日、「京華祭」のステージに立つことができたのですが、ほかの部の生徒が舞台作りを手伝ってくれたほか、先生方もさまざまな場面で労力を使ってくださいました。それらは部員たちの今までのがんばりがあったからこそ。部員たちも周囲に対する感謝の気持ちというものを理解し始めていると思います。眞田や村井をはじめ、部員たちの成長を強く感じています。
初心者も多いのですが、ダンスが“できる・できない”は人それぞれ。意識の持ち方で変わるものだと思います。たとえば村井くんも未経験でしたが、最初から意識が高く、“やってやる!”という気持ちがすごく強くて、家に帰ってからも夜遅い時間まで練習していたようです。そのような意識があれば、すぐに上達します。やる気のない“できない”と、真剣に取り組んでの“できない”とではまったく違います。真剣に取り組めば、ダンスは楽しく踊れますよ!
ステージに向けて各ナンバー(振り付けした作品)に分かれて、それぞれがオリジナルの振りをつくり、コーチと自分たちでステージをつくり上げていく。ステージでのダンスは自分たちだけの作品づくりで、そこが楽しいですね。そしてそれを観客に見てもらい、一体となってステージをつくれるところがダンスの魅力です。部活動を通して成長できた部分は、仲間を見守り、支えるために行動できるようになったこと。それが“仲間意識”になったのだと思います。
大事にしているのは、アイソレーションやリズムトレーニングなど、基礎からしっかりと身につけていくことです。ステージのための作品づくりの段階になると振りがメインになりますが、ステージが終わったばかりの現在は身体づくりやリズムトレーニングなどに取り組んでいます。そのうえでダンスは楽しんで踊ることが大事なので、そのためのキツイ練習にも背を向けず、ステージの上で歓声を受けながら“真のダンスの楽しみ方”や醍醐味を味わえるようになってもらいたいですね。
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