部員数は26名、うち女性マネージャーが4名。練習は週5日(月・金休み)で活動時間は16:00~19:00。2020年度は都ベスト8のシード権を獲得。来春の春高バレー出場が現在の大目標です。
活気のある練習風景。モチベーションを上げるためにも部員には“高い声”を出すように意識付けしているそう。
繰り返し練習することで「ほら、できるじゃないか!」を日々体験。そこから部員のやる気を育てています。
「身体の構え(態勢)と心の構え(準備)、この二つがそろっていないといいプレーはできません」(知久先生)
「先生によく言われることは、『基礎を大事にすること』と『一か八かで決めようとするのではなく、ミスを出さずに何度も攻めよう』ということです」(小山くん)
「“やればできる”という気持ちを持って卒業する。その生徒の成長に喜びを感じています」(知久先生)
インターハイ出場2回、関東大会出場19回、2020年度も都ベスト8入りを果たすなど、常に全国大会出場を視野に入れている男子バレーボール部。部のモットーは『為せば成る』です。
顧問の知久泰先生(保健体育科)は、「『やればできる』ということを体験させたいのです」と話します。例えばそれは、ブロックやレシーブなどのプレーに当てはめることができます。最初はボールに届かなくても、繰り返し練習していくことで高く飛べるようになり、触れるようになり、ブロックできるようなる。反射速度が上がって届くようになりレシーブできるようになる。ロードワークなどでも自分のベストタイムを上回ることを日々目標にしてクリアしていく。
また、活動中は多くの声掛けの中で、その都度評価を伝えます。キャリアの少ない選手たちはプレーをした際、今の動きや結果は良かったのか、悪かったのか、できなかったときには何が足りなかったのかなどがわかりません。ですので、良い動き・良いプレーは褒めることで、足りないときにはもう少しこうすべきだ、ということを伝えます。そうすることで選手は何をどうすべきなのかを理解し、努力の方向性をつかみ、私の『ナイスプレー』『OK』の声掛けで『できた』の実感をたくさんするのです。毎日のたくさんの小さな成功体験の積み重ねが、やがては大きな自信につながるというのが同部の考えなのです。
「高校生には大学受験という高い壁があります。その際に、『部活動のようにコツコツと取り組めば、自分にも必ずできるはず』という強い意志があればやりきれるのです。そうした『やりきる力』は社会に出てからも必ず役に立ちます」
前述の通り、同部は毎年のように東京都ベスト8入りを果たし、勉強面においても京都大学をはじめとする国公立大学などへの進学者を出す文武両道の部活動でもあります。知久先生自身も同校OBで、バレーボール部で活動しながら早稲田大学に一般入試で進学。同部では部活動と一般受験での希望進路の実現をめざす伝統が根付いているのです。
この日はキャプテン不在でしたが、知久先生によると「『進学セミナー』(同校独自の放課後講座)を受けているからです。部活動はそれが終わってから。うちはまず勉強優先です」
活動は週5日。そのうち体育館が使える週3回の練習は実践的な6人練習(チーム練習)が中心です。なかでもレシーブ練習には時間を割いています。
「役割分担です。相手からの攻撃に対してどうシフトを組むのか、やさしいボールが来たときの攻撃コンビネーションはどう組み立てるのか……など、バレーは持つことができない競技ですので、瞬時に判断し対応しなければなりません。例えばブロックとレシーブの分担、一緒にブロックに飛ぶにもポジションによって違う役割があるなど、それぞれのポジションで任される役割を1~3年生メンバー全員が共有し、誰がコートに入ってもスムーズな連携(動き)が取れるよう繰り返して磨くのです」
そんな同部の練習スタイルにはバレーボールは企業・社会の縮図という考えがあります。
「利益を上げることが目標なのか、勝負に勝つことが目標なのかの違いはありますが、目標への向い方、たどり着き方は強い組織はみな同じなのです。組織で協働、つまり適切な役割分担・個人の遂行・できない人へのカバー、いわゆるチームワークが大切です。そうしたところにこそバレーボールの魅力が詰まっているのです。
チーム練習を反復し、阿吽の呼吸を作り、たくさんボールをつなぐことができるようになったチームが強くなります。つまり組織的な動きを磨くことで、多少『個が劣っている組織』でも『強い個の集まり』をいくらでも上回ることができる。それがバレーボールの面白さであり、醍醐味だと思っています」
練習のなかで、選手一人ひとりが“やればできる”を積み重ね、チームとして勝つために、必要な組織力を磨き上げるために反復練習に取り組む。それら一つひとつの成功体験が部員のなかに自信を生み、チャレンジ精神をつくり上げていく。聖徳学園男子バレー部の『為せば成る』は、こうして実践されているのです。
部活動体験で参加したときに、すごい熱気と高度な技術に惹かれて「ここでやってみたい」と思い、聖徳学園に進学しました。部としてめざしているのは “つなぐバレー”です。そのために仲間との声かけや、全力で球を拾う気持ちをみんなで共有し、切磋琢磨しています。バレーは相手の動作を読みながら対応するのですが、そうしたところから周囲への気配りができるようになりました。集団スポーツからチームプレー、部の活動を通して社会の基本を学べていますし、みんなで一つの目標に向かって努力することの大切さを学ぶこともできています。
この学校の掲載記事をピックアップしました。