コロナ禍において、これまで体験したことのない学校生活が続くなか、佐野日本大学高等学校では、新しい生活様式を取り入れた感染症対策に取り組んでいます。今後の展開も含め、生活健康指導部部長の町田裕之先生に話をうかがいました。
コロナ禍において、これまで体験したことのない学校生活が続くなか、佐野日本大学高等学校では、新しい生活様式を取り入れた感染症対策に取り組んでいます。今後の展開も含め、生活健康指導部部長の町田裕之先生に話をうかがいました。
クイックハイジーンターミナルで検温。
バス下校の様子。乗車時の消毒は行きも帰りも必須です。
全員マスクをつけての授業。
生徒が自習にも利用する図書館は座席を限定。原則として1テーブルにつき1名の使用としています。
至る所に設置されている手指消毒剤。自己防衛でありソーシャルマナーの一環です。
部活動(吹奏楽 )
生徒たちが学校生活を送るうえでの大前提は、言うまでもなく安全で安心できる環境を確保することです。これを念頭に置き、文部科学省や保健所のガイドラインに沿ってさまざまな対策をとってきました。「バス対策」もそのひとつです。
本校はバス通学の生徒が多く、その対策は大きな課題でした(スクールバス停は県内外に21カ所)。そこで分散登校が始まった時から、しばらくの間は毎朝、各バス停に教員が立ち、生徒一人ひとりの検温を行い、マスク着用を大前提に車内換気を徹底しました。さらに、生徒にとっては辛いことですが、“私語禁止”にしたのです。そして万が一に備えて、生徒たちが使用した座席も常時記録しています。
本校には2つの寮を完備しています。食堂にはシールドを設置、脱衣所に設置したサーキュレーターは常に作動させ、部活動で使用した用具はすべて洗浄することを徹底する一方、場所によっては遠征を中止する措置もとっています。
学内においては瞬時に顔認証を行い、接触することなく検温できるクイックハイジーンターミナルを校内に8台設置しています。本校は生徒数が多いため、ピストル型体温計も併用して検温を徹底。体温の数値はすべて担任がデータ入力し、学校全体で各クラスの状況を管理・共有できるようにしています。
授業の進度などで苦慮されている学校も多いと思いますが、本校の場合はかねてより全生徒にiPadを配付し、全教室には無線LANを整備していたことで、“生徒たちの学びを止めない”という学校方針を具現化することができました。
例えば休校期間中は、早い段階でインターネット授業用の時間割を組み、まずは生徒に授業動画を配信。教員が独自に製作した授業動画配信やZoomを介した授業へ移行し、多いときで1日5時間の授業を実施しました。慣れないうちは生徒たちから「疲れた」という声も上がっていましたが、動画は繰り返し閲覧できるので、たとえ集中力が途切れることがあっても、あとからカバーできる利点があります。さらには授業再開後も、必要に応じてオンライン授業時の復習を行うなど、学校を挙げた取り組みを続けてきました。
本校の場合、日本大学への内部進学者が多く、同大学への推薦入試は9月に行われることもあり、受験学習の遅れを避けなければならないわけですが、前述のようなICTを活用した学習環境を整えていたことが、今回の非常事態において大きなアドバンテージになり、幸いにも9月の時点で授業進度を通常の状態に戻すという難しい問題をクリアできたのではないかと思っています。
生徒たちにとって大切な学校生活の一部である行事・イベントについては、まず、教育現場では“行事が生徒をつくる”という考えがあります。しかし今年の場合、例えば高1生は入学式もオリエンテーションも予定通りとはいきませんでした。そうなると、生徒同士がお互いの距離感をつかみにくいという状況が生まれます。だからこそ、うまく人間関係を構築できる機会を用意したいと思うのです。研修旅行をはじめとする今後の行事・イベントは、少しずつ段階を踏みながら、「形を変えてでも実行可能なものはやっていこう」というのが基本的なスタンスです。
また、今後の“新しい生活様式”については、これまで述べてきたような対策を、根気強く続けていくことこそ大切なことだと考えています。最も怖いのは、“慣れからくる油断”です。新型コロナウイルスとの根比べに負けないように学校全体が一体となって、佐野日大の新しい生活様式を持続していきたいと思っています。
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