教員の仕事は、生徒の夢や思いを最大化して実現させることです。命令に従わせるのが教育ではありません。一人ひとりの生徒と向き合う時間を作るためには、教員がオーバーワークをしていてはいけません。そこでまずは教員たちが十分に休んで、自分自身が好きなことに取り組めるようにしました。
私が以前勤めていた学校では、長期の休みをとってアフリカ旅行をした教員がいます。とても楽しかったようで、キラキラした目をして生徒に体験を語りました。すると生徒のテンションは高まり、学習へのモチベーションも上がるのです。
本校ではマサチューセッツ工科大学(MIT)監修のアントレキャンプ(起業家育成キャンプ)に生徒を連れて行く計画を立てています。引率の教員にも本場の最上級を経験してもらえば、生徒に教育として還元できると考えています。
私たち教員は、生徒のロールモデルであるべきです。そのロールモデルが疲れた顔をしていたら、生徒も疲れてしまいます。生徒に常に話すのは、「やりたくないことはやらなくていい。ただ、やりたいことがあるのなら、自分が一生懸命にならなければダメだよね」ということです。
補習や補講の時間も減らしました。成績を上げるためのカンフル剤にするならいいのですが、皆さんの将来の目的は「成績を上げる」ことだけではないはずです。勉強は自分の思いを実現させたり、近くにいる人を幸せにしたりするための手段でしかありません。確固たる目標やミッションがなければ、勉強することだけが「目的」になってしまいます。大学に入ることだけが目的ならば、大学に入って勉強しなくなるのは当たり前なのです。
中高時代は、自分の思いや哲学を鍛える場です。自分の世界観を確立し、自分は社会にどんな貢献ができるかなどに気づくことのできる時期なのです。