
東洋大学を開校した明治の哲学者・井上円了によって創設され、2015年に現在の東京都文京区白山の校舎に移転し、男子校から共学化、東洋大学の附属校として新たな歴史を刻んでいる東洋大学京北高等学校。東洋大学の附属校でありながら、外部大学への進路指導も充実しています。
「学校説明会では、『大学附属校ではありますが、最初から東洋大学への進学のみを目標とした指導は行いません』と伝えています」と進路指導部長の武田浩哉先生は話します。
「常に目標を高い所に置いてがんばろうという考え方で指導しています。本校の授業は全科目履修型で、高2までは文系、理系を分けずにすべての教科を学習しています。そのため進路の視野には当然国公立大学も入ってきます」
最初から選択肢を狭めることなく、いろいろな学校を調べていく中から自分の学びたいことを考え、目標を立てていくというのが進路指導の基本方針という武田先生。
「指定校推薦もたくさん用意してはいますが、推薦については東洋大学をメインに据え、別の難関大学をめざすのであれば、それに合ったシステムを用意しています」
そうした進路指導の結果、東洋大学に内部進学する生徒は3割ほどだと言います。
「大学附属校として東洋大学の推薦枠は160名ほどあるのですが、2019年度の卒業生204名のうち附属校推薦を利用したのは69名です。私たちとしては東洋大学をあくまで選択肢の一つであると考え、“目標はより高く”の精神で学校全体のレベルを上げていこうと考えています」
そうした学力向上施策の一つが、全学年で実施する朝テストです。
「学習の苦手分野をフォローすることを目的に実施しています。朝テストの結果を見て、各生徒の足りない部分は放課後に個別指導を行っています」
同校では高校に入学すると、中学からの内部進学者の「難関クラス」「進学クラス」、高校からの入学生の「難関クラス」「進学クラス」の4クラスに分け、それぞれきめ細かな指導が行われています。
「本校は中高一貫教育を行っているので、中学では理科と数学を少し早く進めており、高1の内容も入れてカリキュラムを組んでいます。中高一貫生は私たち教員との関係性が深いこともあり、高校入学後も学力上位層を占める傾向にあります。もちろん、高校から入学した生徒たちも、学校生活に慣れるとともにどんどん学力を上げていきます。私たち教員は、高校からの入学者にも配慮して指導をしています」
学校創設以来の伝統として、カリキュラムに「哲学」を導入しているのも大きな特徴です。
「倫理の授業の中で行う哲学対話では、さまざまなテーマを設けて生徒たちに物事を深く掘り下げて考え、論理的に思考する訓練をしています。小論文などを考える上でもこの積み重ねは大きいと思いますし、本校の強みだと思っています」