神田女学園は創立130年の女子伝統校です。リベラルアーツやトリリンガルなどの先進的な教育の実践、とくにアイルランド、カナダ、ニュージーランド、アメリカの名門校で実施しているダブルディプロマプログラム（DDP）への注目度は高まっています。海外の名門校に留学し、日本と海外2つの高校の卒業資格を取得できるDDPは、日本国内の高校では同校が初です。それらの「次世代の教育」を具体的に実践している新しいコース・クラスの特色について、校長の宗像先生のメッセージを交えて紹介していきます。

1. 教科の枠を越え実社会の最適解を探究するために、知識を活用するリベラルアーツ教育
2. 母語の運用能力を高め、圧倒的な英語力と第二外国語を学ぶトリリンガル（3カ国語）教育
3. 「ジブン」の「ドラマ（人生）」をデザイン（選択）し、理想のキャリアに合わせた3コース制の新設

■その①　教科の枠を越えたリベラルアーツ教育

　本校のリベラルアーツ教育は、各教科の知識を組み合わせて考える力のことを指します。知識を蓄積するだけでなく、活用できる思考力を養います。実社会とのつながりを意識し、社会の最適解を探る神田女学園独自のリベラルアーツ教育です。

「例えば、食料問題を考えるとき、社会科と家庭科がコラボレーションし、複合的に考える授業を実施しています。通常の授業で体系的に学び、ニコルプロジェクトにより思考力と行動力を深めます。また、委員会活動やボランティア活動、学校行事の企画・運営などを通して、一人ひとりが『みんなのために自分は何ができるのか』を考えて行動します。学習だけではなく学校生活のすべてにあるリベラルアーツ教育を通して、思考力や行動力、主体性を身につけていきます」（宗像校長）

■その②　母語の運用能力を高めるトリリンガル（第二外国語）教育

　母語と英語に加え、フランス語、中国語、韓国語、日本語の中からいずれかを選択し、高校3年間でトリリンガル教育を実践しています。

「本校では母語を大切にする言語教育を実践しています。それをベースに、深い知識と教養、行動規範、倫理観、高いコミュニケーション能力を有する『品格ある個人の育成』に力を注いでいます。その上で、グローバルな視野を広げるコミュニケーションツールとして、英語・第二外国語を身につけていきます。第二外国語が使えることは、社会に出てからの大きなアドバンテージになります」（宗像校長）

■その③　「ジブン」のドラマをデザインする3コース制を新設

「リベラルアーツ教育」や「トリリンガル教育」をより具体的に実践していくため、2021年、高校課程に新コースが開設されます。生徒が理想とする学びやキャリアに合わせて「GLA：国際教養コース」「HLA：高度教養コース」「ULA：総合教養コース」の3コースから選択できるのがポイントです。

　国際教養コースには、「ダブルディプロマプログラムクラス（DDP）」と「ロングステイプログラムクラス（LSP）」があります。このコースは英語力ではなく「エイゴで伝える力」を本格的に養います。

■DDP（現地校卒業）クラスのポイント

• アイルランド、カナダ、ニュージーランド、アメリカの現地校で、卒業資格や修了資格を取得するカリキュラム。
• 海外大学進学や国際教養系の大学へ進学し、国際機関などへのキャリア形成をめざす。

■LSP（中長期留学）クラスのポイント

• 中長期留学で、実践的な英語力やグローバルな視野を身につけるカリキュラム。
• 海外大学進学や国際教養系の大学へ進学し、国際機関などへのキャリア形成をめざす。

「GLAコースではIB教育のノウハウや評価指標を取り入れて、世界標準の学習に取り組みます。また、全員が世界各地に留学するので、帰国後に多様な価値観を得ることができます。クラスメートが世界中で学んでいる“世界に開かれた国際色豊かなクラス”になるでしょう」（宗像先生）

　高度教養コースには、「メディカルテクノロジークラス（MTC）」と「ランゲージアーツクラス（LAC）」があります。来るべき高度医療社会や多様性あふれる社会に向けて、専門的な知識を身につけていきます。

■MTC（医療看護）クラスのポイント

• 医学・看護・薬学・医療技術などをめざし、圧倒的な基礎学力をベースとする学習カリキュラム。
• 医学部・看護学部・薬学部へ進学し、高度医療社会に関わるキャリア形成をめざす。

■LAC（多言語活用）クラスのポイント

• 母語・英語・第二外国語を学び、言語運用能力を高める学習カリキュラム。
• 外国語系・人文科学系の学部へ進学し、キャビンアテンダント、外資系企業、国際機関でのキャリア形成をめざす。

「高校時代の学びと職業観を結び付けることが、『HLAコース』の大きなポイントです。「真の国際医療人になる」「本当のグローバル社会で活躍する」など明確な目標を持つ生徒へ道筋を示すコースです。目標が高い分、学ぶハードルも高いですが、次世代の社会で思考し、やり抜く力をつけることができます」（宗像校長）

　総合教養コースには、「フューチャーデザインクラス（FDC）」と「ディプロマクラス（DPC）」があります。

■FDC（国私大進学）クラスのポイント

• 基礎学力から応用力までを身につける学習カリキュラムで、将来の可能性を広げる。
• 文系・理系に関わらず、生徒が希望する学部に進学し、専門職・総合力職・公務員などさまざまなキャリア形成をめざす。

■DPC（自己実現）クラスのポイント

• 神田女学園のディプロマ（卒業資格）をめざし、安心して学校生活を送れるクラス。
• 生徒一人ひとりの個性に応じた成長過程や夢の実現を優先した学習カリキュラム。

「高校受験の時点で、まだ将来の目標が明確でないという生徒は、ぜひ本校のULAで学んでほしいと思います。本校では、高1で一般教養課程として、すべての生徒がコースに関わらず同じ内容を履修します。各コースの学びが本格化するのは2年生になってからで、2年生からのコース変更も可能です。生徒たちには自分の選んだ道に自信を持ち、安心してポジティブに学校生活に打ち込んでほしいと思います」（宗像校長）

「本校には、ご紹介したような3つのコース・6つのクラスがあり、自己実現を成し遂げるための環境があります。それを支える主体的で活気あふれる学校生活が送れます。毎日を特別な日々にできるのが本校です」（宗像校長）