高大連携プログラムの中で『卒業論文』と双璧をなすのが『読書課題』です。自分が志望する獨協大学の学部教授が推薦する書籍リストの中から32冊を選んで完読。1冊ごとに概略と感想をB4ノートの見開き1ページにまとめて、卒業論文とともに獨協大学に提出します。
「獨協大学の初代学長である天野貞祐が、『大学は学問を通じた人格形成の場である』と述べています。何冊もの本を読むことは、人格形成の一環であり、大学生となるために必要不可欠な経験です」
法学部の読書課題のリストを見ると、最初に読んでほしい2冊として『本の運命』(井上ひさし)、『読書力』(齋藤孝)に続き、国内外の法律や政治学の入門書や新書など、さらには『ソクラテスの弁明・クリトン』(プラトン)、『君主論』(N.マキアヴェッリ)、『自由論』(J.S.ミル)などの古典が紹介されています。
「この課題図書は卒業論文ともリンクしています。例えば、かつて国際教養学部言語文化学科を志望する生徒が、同学科が推薦する書籍の中にLGBT(※)に関するものがあり、それを読んだことをきっかけにLGBTを論文のテーマに選んだというケースもありました」
高大連携プログラムには、ほかに『国語研究』と『公民研究』の2つがあります。前者では大学で必要となる読解力や表現力を養成。後者では社会で起きている問題を、グループディスカッションをしながら掘り下げていきます。生じた疑問からさまざまな問題が見えてくることを学ぶのです。
「こうした学びを修めて獨協大学に進んだ卒業生たちは、ゼミでリーダーシップを発揮するなど中心となって活躍しています。レポートの書式を熟知し、執筆の作法も身につけていることが大きな強みとなっています。
また、卒業生の多くが卒業論文で選んだテーマをそのまま継続して大学でも研究しています。これは本校の教員である私たちにとって非常に喜ばしいことです」
なかには獨協大学から東京大学の大学院に進み、研究を続けている卒業生もいるそうです。
※LGBT……セクシャル・マイノリティ(性的少数派)の総称の一つ。