劇には各クラスが伝えたいメッセージや学んできたことが反映されています。例えば、僕たちのクラス(3G)が企画した『Rights~存在のない世界』では、人権問題をテーマにしています。普段の授業で社会問題を扱う機会があり、問題意識をクラスのみんなで共有していたことから派生し、学院祭に足を運んでくれた人たちに、“僕たちの感じている問題意識を持ち帰ってもらいたい”という思いから、このテーマで劇をつくり上げていこうとなりました。
正則は3年間クラス替えがないので、学院祭の劇には1年目、2年目、3年目と同じメンバーで取り組みます。そのなかでクラスメートの成長や、行事でしか見せない新たな面を目にすることができます。
僕たちのクラスは1年生のとき、体育祭で最下位だったのが、3年の夏の体育祭では優勝しました。その成果を出せるまでにはいろいろ紆余曲折があって……。団結力を強め、成長し、その成果が体育祭で実りました。そのうえで、クラス全員で最優秀賞をめざし、今回の学院祭の劇に臨んだのです。
意欲の高いメンバーや演じるのが得意なメンバーを選抜して取り組むクラスもあるなかで、僕のクラスは全員参加としました。学院祭やクラス企画の劇にかける思いには一人ひとり温度差があり、今回の劇の制作にあたって開催した学習会では肯定もあれば否定もあり、苦労が多かった分、力を注いで全力で取り組むことができました。その経験は何物にも代えがたく、達成感は言葉では言い表せられないほどです。
また、準備を進めるなかで、普段は積極的にクラスに関わってこないクラスメートや、1年生の頃はクラスに無関心だったクラスメートが積極的に動いてくれるなど、クラスメートの変化や成長、意外な一面を見ることもできました。行事を通して、自分自身の成長だけでなく、身近なクラスメートの成長を目の当たりにすることができるのは、正則ならではです。
正則には“自分を変えられる場”がたくさんあります。今年の文化祭実行委員の1年生にも“自分を変えたい”という動機から文実に立候補した後輩がいました。初めはなかなかうまくいかないこともあったようですが、積極的に声かけをするなどサポートを続けていくうちに、後輩が主体的に活動していく姿を見ることができました。
僕自身、学校生活の中で先輩方とたくさん関わり、たくさんのことを教えてもらって成長してきました。それを文化祭実行委員会などの活動を通じて後輩に引き継いでいくこと、そして後輩たちの成長をサポートすることも自分たちの役割です。先輩にしてもらったことを後輩にもしてあげたい。そういう思いが正則の伝統行事に引き継がれています。
今年の学院祭では『輝』をテーマとし、例えば劇であれば脚本、出演、外装などさまざまな役割がりあるので、それぞれが自分の持ち場で力を発揮して、全体でいいものをつくっていける学院祭をめざしました。
正則にはクラス替えがありません。何かに特化したクラス編成やコース制もありません。いろいろな個性を持った生徒たちが、足並みをそろえてゼロからクラスをつくり上げていくことで、ともに成長していける学校です。3年間同じクラスだからこそ、一人ひとりの個性をじっくりと知ることができ、それを活かし合い、輝かせることができます。今年の『輝』というテーマには、“一人ひとりが輝ける正則”という学校の魅力を打ち出したいという思いも込められています。