大改革が進められている同校の学校案内には、「Challenge」という文字が数多く記載されています。新生・武蔵野大学高等学校には、失敗を恐れずチャレンジするための刺激的な学びの機会が豊富に用意されています。
なかでも注目したいのが、アメリカのボストンで実施される海外研修『アントレプレナーシッププログラム』。今年の夏、第1回目のプログラムが実施され、中3~高3の希望者30名が挑戦しました。国際教育部・部長の渡邉多美恵先生とダグラス先生にお話をうかがいます。
大改革が進められている同校の学校案内には、「Challenge」という文字が数多く記載されています。新生・武蔵野大学高等学校には、失敗を恐れずチャレンジするための刺激的な学びの機会が豊富に用意されています。
なかでも注目したいのが、アメリカのボストンで実施される海外研修『アントレプレナーシッププログラム』。今年の夏、第1回目のプログラムが実施され、中3~高3の希望者30名が挑戦しました。国際教育部・部長の渡邉多美恵先生とダグラス先生にお話をうかがいます。
渡邉先生プログラムの名称に、起業家精神を意味する「アントレプレナーシップ」とありますが、起業家の育成を目的にしているわけではなく、マサチューセッツ工科大学(MIT)の「24 steps」(※)に基づいたプログラムの実践を通して、課題を解決に導く思考力や行動力を育むことを目的にしています。
アントレプレナーの視点やマインドを持つことで、例えば苦手な学習分野をどう克服するのかといった、普段の学校生活や身近にある課題に対して、解決方法を具体的に考え、行動できるようになります。
※「24 steps 」……事業アイデアを起業に結びつけるための標準的手順を明らかに、24 ステップのプロセスとして整理したもの。多くのベンチャー企業を輩出しているMITの起業センターで教えるビル・オーレット氏による著書『ビジネス・クリエーション!』で紹介され、世界各国のビジネスマンやリーダーに広く知られている。
現地では24 stepsを中高生向けにアレンジした6 stepsを実践し、「困っている人を助けるプロダクト(商品)の開発」に取り組みます。事前学習で参加者がテーマを出し合い、テーマに共通性のある生徒2~4名ほどでグループを作ります。現地ではそのメンバーで議論や調査を行い、最終的に起業家の方々へ向けてプレゼンテーションを行います。
そのプレゼンに対して、起業家の方々から本格的な質問や意見が向けられます。そのため、インタビュー調査やデータなどで裏付けを取り、さらになぜそう考えたのかグループの意見を盤石にしてプレゼンに臨む必要があります。じっくりと時間をかけて、ときにはグループ内でぶつかり合いながら、常にさまざまな角度から議論を重ねていきます。違う考えを持つメンバーが集まって、一つの目的を解決していくことの難しさを身をもって体験し、濃密な時間を過ごしていくのです。
渡邉先生「アントレプレナーシッププログラム」は、語学研修や異文化交流・異文化理解に重点を置く海外研修とは目的が大きく異なります。そのため、チャレンジしたいという意欲さえあれば、英語力は問いません。
ダグラス先生現地で英語を使う主な機会は、プレゼンテーションとインタビューワークです。英語を得意としない生徒にとって、それは簡単なことではありませんが、「こういう問題を解決したい」というグループの高い目標を達成しようとする意欲が原動力となって、現地で必要となる英語を自ずと使えるようになっていきます。
現地では、生徒たちがたびたび英語に関するアドバイスを求めに来てくれました。今まで学んできた英語を使ってみようというスタンスではなく、まず目的があって「そのためにどんな英語が必要なのか」を生徒たちが自分で考え、学び取ろうとしているのです。
渡邉先生現地ではタフツ大学の寮に滞在して起業家の方から話を聞いたり、起業を学んでいる学生から話を聞いたりするほか、MITミュージアムではプログラミングを体験する機会などもあります。
ダグラス先生MITが持つ、「まずは行動に移す」「ものを作ってみる」「挑戦してみる」という精神や、アメリカの大学生たちの積極的な学びの姿勢に憧れて、海外大学への進学を視野に入れる生徒も出てくるでしょう。また、帰国後の生徒たちからは、学校をより良い場所に変えていきたいという気概や、学校生活でこんなことにチャレンジしたいという気持ちが強くなっているように感じます。
渡邉先生これまでにない学びに触れて生徒が感じ取ったもの、現地で得た自信を、今後の学校生活や将来に活かしていってほしいですね。
今回、私がこのプログラムに参加した動機は、元々海外に憧れていて、楽しそうだなと思ったからです。また、最終的にはプレンゼンテーションを企業家の方の前でするということを聞いていて、プレゼンテーションはもちろん、大勢の人がいる中で話すことがあまり得意ではない私にとって、この機会にそれが克服できるかもしれないと考えたからです。
現地での印象的なことは、まったく知らなかった人ととても仲良くなったということです。実際にアメリカへ行く前に事前研修に臨んだのですが、そのときは異学年の知らない人はもちろん、同じ学年でもあまり話したことのないような人もいて、少し心配でした。でも、いざアメリカに行ってみると、生活を共にしているだけに、笑いながら話せるような仲になりました。
このプログラムを経験して、ものに対する考え方が変わりました。身の周りにあるすべてのもの(商品)はすべて目的とした人がいて、その人を幸せにするためにその商品があるということを知りました。また、実際に自分で商品を考案してみて、自分にも困っている人を助けることができるんだと、うれしい気持ちになりました。
将来の夢、目標はまだ決まっていません。でも、英語に携わって何か海外に関係のあることをしたいと考えています。それは、もともとあった海外への憧れに今回の経験もプラスされての夢だと思っています。そのジャンルの中で自分の本当にやりたい仕事を見つけるべく、今は英語の勉強に専念したいです。
この学校の掲載記事をピックアップしました。