2020年大学入試改革を控え、学習指導要綱の改訂や高大連携強化など、高等学校教育は現在、変革期を迎えています。そうしたなか、兼ねてより独自の教育を推し進める同校の“これから”について、2019年春に教頭に就任された加藤信也先生にお話をうかがいました。
━━ 高等教育そのものが変化を求められている状況にあるかと思います。そんななか、貴校が実践しようとしている新たな取り組み・試みについてお聞かせください。
「これから求められる学力や、その学力を養う授業展開、そういったところをさらに先読みしながら準備するために、2019年度より新しく『教科研究部』を設置しました」
━━ どのような役割を担うのでしょうか?
「ハード面では、例えば電子黒板には黒板用とホワイトボード用の2種類あるのですが、実際の授業や教科などではどちらが使い勝手がいいのか、といったことを検討することにも取り組んでいきます。「ハードをいかに活用するか」、あるいは「本当に必要なものなのか」を精査・検討していくことは、授業に対する意識改革にもつながっていくものです。
ソフト面においては、各教科の教員が集まって教科の枠を越えた取り組みにもチャレンジしていきます。SDGs(エス・ディー・ジーズ。「SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS=接続可能な開発目標」の略称)もその一つです。SDGsとは2015年の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193カ国が2030年までに達成するために掲げた『世界を変えるための17の目標』です。例えば、その目標の1つである、「貧困をなくそう」という項目について、各教科なりのアプローチで教員がそれぞれの教科の立場で授業に取り込み、やがてはカリキュラムそのものをつくっていくことも考えています。
具体例を挙げますと、本校の強化クラブとして活動しているテニス部は、年間でかなりのボールを消費しています。そのなかで試合球としては使用でいきないけれども練習ではまだ十分に使えるボールを、三鷹市にある会社を通してフィリピンの子どもたちに使ってもらうといった取り組みを行いました。こうした動きは楽器や道具を使用する芸術分野にも応用できます。このように教科・授業でのアプローチとクラブ活動や課外活動を結びつけることができるのも特徴です」