稽古や試合において防具を着用して直接打撃で行います。しかし、突きは相手に触れたら反則、蹴りはスキンタッチのみ。過度の接触は反則です。
相手に対して自分の体を真横にし、相手選手の側頭部や後頭部を狙います。
稽古の前後は全員で正座をして黙想。稽古を通じて個人の心・技・体の完成をめざします。
形は、古くから伝わる攻防の技を、一連の決まった動きにまとめたもの。基本を反復することにより、形においてもキレのある動作が身につくようになります。
空手競技は、「タタミ」と呼ばれる12メートル四方のマット上で行われます。組手の場合は、この中の8メートル四方のエリアで競技し、そこから出てしまうと「場外」となります。
今年、組手の個人と団体でインターハイ出場を果たした同部のメンバーは33名。経験者や実力者が多く在籍し、切磋琢磨し合いながら妥協のない練習を重ねています。
ひたむきさ、空手道と誠実に向き合う姿勢、「道」を極めようとする者ならではの礼儀正しさ。そうしたところに、同部が名実ともに東京都の代表であることを実感させられます。
「クラブ活動を通じて、人生のバックボーン・基礎となるものをつくっていきたい。大会に出場するだけが目標ではありません」
と話す顧問の前田博史先生。指導方針は決して「空手道一筋」ではありません。
「第一義は学習活動。クラブ活動はあくまで“課外”の活動です」
そう断言します。「空手のスポーツ推薦で入学してくる生徒に対しても、空手道をやるためだけに本校に来たのではないことを、入学前に理解させています。もちろん33名の部員全員が学業と部活動を簡単に両立できているわけではありませんが、個々の状況に合わせて、きめ細かく学習との両立をサポートしています」
空手道と学習のどちらも疎かにしないという意識で学校生活を送ることが、生徒たちに大きな成長をもたらすのです。
部長の南條くんはその好例とも言える存在です。
「南條くんは学習面でも優秀です。オンとオフの使い分けが上手く、メリハリのきちんとついた生徒で、スイッチが入ったときは一言一句聞き逃すまいとする集中力があります」(前田先生)
その南條くんも、競技において高2のときにスランプに陥ったことがあるそうです。
「でも、そのスランプが良い契機になって、メンタル面とフィジカル面の両方が大きく成長しました。リーダーシップ、責任感が少しずつ芽生えて確固たるものになったと思います。部長になりたての頃はどこか引いてしまうような、遠慮がちなところもありましたが、今はリーダーにふさわしい姿勢が見られるようになってきました。『全国に出場するチームのキャプテン』という自覚が大きいのでしょう」(前田先生)
今年のインターハイに、同部からは個人組手で南條くんと長沼くんが出場するほか、団体組手では33名の部員が誰一人欠けることなく全国に向かいます。学校の顔として、東京都代表の顔としての自覚が一人ひとりに芽生え、より良いチームへと成長を遂げています。
※インターハイの結果:個人組手で南條くんがベスト16、長沼くんが第3位、団体組手で全国3位になりました。
空手を始めたのは小学生の頃から。通っていた道場に保善高校で活躍している先輩がいました。その先輩から、先輩・後輩の上下関係がしっかりしている一方で仲が良く、メリハリがある保善高校の空手部のことを教えてもらい、自分もこの学校で空手をしたいと志しました。
実際に、先輩から学ぶことはたくさんありました。先輩方がとても強かったので、高1のときは、とにかく追いつきたいと思って必死でした。高2の夏に先輩方が引退して、自分が部長となって部を引っ張っていく立場になると、部長という立場がプレッシャーになってしまいました。チーム全体を見ることと、自分自身の競技面での成長を両立させることが難しく、スランプに陥ってしまったんです。
そのときに、先輩の偉大さを痛感しました。でも、先輩に導いてもらったことを思い出しながら、諦めないでがんばったんです。その経験が高3になってから活きてきたと思います。インターハイに出場するようなチームを引っ張っていくリーダーになれたのは、その経験があったからこそだと思います。
部のモットーは「継続は力なり」。部員たちは集団の中で自分の役割を見つけながら、社会性を身につけていきます。
サッカーはボールテクニックが非常に重要です。ボールを思い通りに扱えないと、すべてのボールを扱うプレー(ドリブル・パス・シュートなど)でミスが起きる可能性が高くなります。
サッカー選手として、ボールキープできる能力は必要不可欠なスキル。
シュートというと蹴ることばかりイメージしてしまいがちですが、相手キーパーのポジション、自分の周りにいるディフェンダーなど、ボールを蹴るまでの一瞬で判断しなければいけません。
どんな戦術でも、いいパフォーマンスができるようにするため、ボールコントロールの技術は大切です。
サッカー部には、常に140名前後の生徒が所属しています。これだけの大所帯ともなると、試合に出るには学内選抜を勝ち抜かなければなりません。でそれでも全員がやりがいと誇りを持って、「継続は力なり。一つのことをコツコツ続ける」という部のモットーを実践しています。
その理由はどこにあるのでしょうか。
「全員が思いきりサッカーに打ち込める環境が、大きなモチベーションになっているのではないでしょうか。常に部員全員にチャンスがある実力主義で、実力があれば上位チームに飛び込んでいくことだってできます。フラットな関係性があり、技術の高い選手だけが優遇されるということはなく、みんな平等です」(サッカー部顧問/阿原大輔先生)
全員が平等にサッカーを楽しみ、縦と横のつながりを大切にするサッカー部。大人数が所属する部活動だからこそ、サッカーの技術以外の人間的に成長できる部分も多くあるようです。
「試合に出ることや技術を磨くことはもちろん大切ですが、それだけが活動の意味ではありません。集団の中で自分の役割を見つけること、一員として代表を応援すること、そうした経験を通して、社会性を身につけていくことも大切です。
学校内でも学校外でも、そしてもちろんピッチでも、常に私たちはサッカー部という団体として見られているのです。140名全員がそれを意識して、あいさつやマナーを徹底するよう指導しています。
また、本校のサッカー部らしさを体現しているものに、“応援”があります。他校の試合では見られないほどの熱意とチームの団結力を象徴する応援として、部員たちが誇りにしているものです。応援は我々が指導しているわけではなく、試合前に出場しない生徒たちが率先して練習したり、先輩の姿を見たりして後輩が引き継いできたものなのです」(阿原先生)
全国大会に出場するという夢を持っていた僕は、強豪校でサッカーをしたいという思いがありました。なかでも保善のサッカー部に惹かれたところは、ある試合で見たチームの姿でした。
きちんとしたあいさつができている先輩たちの姿が、かっこ良くて、自分もああなりたい、ああいう先輩たちと一緒にサッカーがしたいと思ったのです。そして、何より素晴らしかったのが応援です。
応援している人たちの姿を見て、本当にチームの仲が良いんだなと感じました。他校にはない迫力があって、一体感もまったく違いました。それに、試合に出られない部員でも充実していることがわかりました。
以前はリーダーとして、みんなをまとめきれないこともあったし、大変なこともありました。試合に負けてチームの士気が下がってしまったときなどは、とくに大変でした。
また、高1の終わり頃、練習でほかの選手を上回ることができず、試合に出られない時期もありました。その時は朝練をしたり、部活動のあとに自主練習をしたりして乗り越えました。この経験は後輩にアドバイスするときに役立っています。大変なことを乗り越えながら、人間として成長できる部活動です。
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