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私立高校 進学なび

2017

高大連携教育最前線
城西大学附属城西高等学校

系列大学の薬学部との高大連携により
倫理観とやさしさにあふれた医療人を育成

将来、薬剤師をめざす山本くん、米田さん、佐藤さん(写真左から)

医歯薬・医療看護系志望の生徒に向けたゼミを開講

「天分の伸長」「個性の尊重」「自発活動の尊重」─。これらの建学の精神のもと、人間教育に力を注いできた同校は2018年に創立100周年を迎えます。歴史と伝統ある同校の特色は、生徒同士がお互いの個性を尊重し、教え合い、議論し、体験を通して学び合える学校であること。こうした校風と相まって、系列校である城西大学や城西国際大学には薬学部、日本医療科学大学には放射線学科やリハビリテーション学科、看護学科があり、医歯薬・医療看護系をめざす生徒が年々増えています。

 そこで、同校では医療系をめざす高3生に向けたゼミを開講。医療系の大学入試で問われる生物や化学の学力を高めるとともに、医師や薬剤師などを招いて、医療系のキャリア教育に力を入れています。

 医療系のゼミを担当するのは、進路指導部副部長で理科担当の酒井三九郎先生です。薬剤師として製薬会社の学術研究部に勤務していた酒井先生は、その経験を生かして指導にあたっています。

「このゼミは、高2の後半からスタートします。まず、医療とは何か、医療人とは何かを考えてもらいます。『成績が優秀だから医療系に進む』という風潮がありますが、これからは通用しない時代になってくるでしょう。医療人には高度な専門知識だけでなく、倫理観や他者への気遣いができるやさしさが必要です。

 例えば授業が始まる前に何か不備はないかと、隣の席の生徒に目を向け、教科書がなければ見せてあげるような気遣いです。ゼミでの学びを通して、やさしさのキャパシティーを大きく広げていきたいと考えています。

 また、医療人の働く場所は病院だけではないことも教えていきます。医療にはさまざまな分野があります。厚生労働省の官僚も、川の汚染を調査する研究者も医療人です。先日、科捜研(科学捜査研究所)の方をお呼びして講演していただきました。科捜研の方たちもそうです。

 また、生徒たちはよく計算ミスをしますが、医療の現場で計算ミスは許されません。人の命がかかっているからです。同時に医療人は化学のマイスターであり、研究者でなければなりません」

 こうして医療人としての意識を高めるともに、自分のキャリアを見据えたうえで、高3からは化学や生物の学力を伸ばしていきます。医療系大学や医療系学部の推薦入試には、小論文や面接があります。これらの試験で問われる医療時事問題の探究方法も指導し、入試本番に備えていきます。

城西国際大学の薬学部で調剤実習や基礎化学実験を体験

 今年3月、このゼミで学ぶ薬学部志望の生徒に向けた「薬学進学希望者向け体験授業」が行われました。高大一貫教育の一つで、城西国際大学薬学部の最先端施設を訪れ、教授や大学生のもとで調剤実習、基礎化学実験を体験します。実習では軟膏と点滴に使う注射剤を製造しました。軟膏はただ混ぜるだけでなく、一粒の菌も入らないようにする厳密な無菌操作が必要となります。この高大連携プログラムに参加した3人に話を聞きました。

 山本くんはハンドボール部の副部長。薬学部で学ぶお姉さんの影響から薬剤師をめざすようになったそうです。

「注射剤だけでも、いくつもの製造行程があります。軟膏を容器に詰めるのにも空気が入って酸化しないように細心の注意を払わなければなりません。調剤の大変さを実感しました。将来は病院に勤め、患者さんやその家族の気持ちがわかる薬剤師になれたらと思います」

 佐藤さんは、周囲の人たちと心を通わせることのできる薬剤師になりたいと話します。

「薬学部の学生の人たちは皆、親切でフレンドリーに接してくれました。医療系をめざすには温かな心を持っていなければならないのだと強く感じました。

 私がめざすのは研究職です。発展途上国の人たちのために、安価で高品質の薬を開発できたらと思っています」

 米田さんは生徒会の総務を担当。入試説明会で受付をしたり、高校受験生の前で話をしたりしたそうです。

「実習では薬品に空気を入れてしまい、苦戦しました。薬剤師の仕事の厳しさを痛感しました。でも、先生や大学生に『失敗する経験も大切だよ。本番で間違えなければいいのだから』と言ってもらい、ほっとしました。

 目標は、小さな子からお年寄りまで、同じ目線で話せるような薬剤師になることです」

 3人とも薬剤師をめざし、人間教育の一環として医療系進学に力を注ぐ同校に入学しました。同校から薬学部に進学する場合、一定の成績基準を満たせば、城西大学や城西国際大学の薬学部の推薦権を12月まで保持したまま他大学の薬学部を安心して受験できます。3人はこのスタイルで薬学部の入試に臨むそうです。

「今後、高大連携教育をさらに発展させ、人間性豊かな医療人を未来に送り出していきたい」と酒井先生は話します。

城西国際大学薬学部で軟膏を創る“未来の薬剤師”たち。薬を扱うことの難しさ、厳しさに誰もが驚きました。

(この記事は2017年11月に掲載しました。)

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