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私立高校 進学なび

2016

独自の教育プログラム
東京成徳大学高等学校

知識や論理とともに感性を駆使
哲学的な問いに向き合う「自分を深める学習」

人間の基盤「ビッグロック」の構築が目標

ミュージカル「シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ」を鑑賞する生徒たち。ミュージカル「シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ」を鑑賞する生徒たち。

「まさに五感に響くミュージカルでした。SF仕立ての作品ですが音楽と歌、踊りを盛り込み人の絆の重要性、生命の尊さなどを訴えかける内容で、生徒たちも強く心を動かされたようです。『自分を深める学習』の趣旨にぴったりの作品でした」

 副校長の野中修也先生は熱く語ります。取材当日まで高1対象の芸術鑑賞が開催されており、その感想を述べてくれたのです。演目は音楽座ミュージカルの『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』。劇団を迎え、体育館に特設ステージを組んでの公演でした。

「芸術鑑賞は『自分を深める学習』において例年、高1の1学期に開催しています。この授業では知識だけではなく感性も必要であることを理解してほしいのです」

「自分を深める学習」とは、高1と高2を対象とした特別授業で14年前にスタートし、週1時間のペースで実施しています。

「自分とは何か、どう生きるのか、人と人のつながり、生命とは……。頭と心が柔軟な高校時代に、こうした哲学的な問いに向き合ってほしい。そんな思いで始めた取り組みです」

 明確な正解は用意せず、知識や論理のみでなく感性もフルに駆使して自分自身で考え、自分なりの答えを導き出すというのが、この授業の趣旨です。そして、こうした作業によって生徒一人ひとりが自らのビッグロック(同校独自の用語で「人間の基盤」の意味)を構築するのです。

「そのビッグロックがあって初めて本物の知性が身につくと考えています」

「沈黙の時間」で自然体験を深める
書籍・ビデオ・音楽などを扱ったレポート作成も実施

「自分を深める学習」の内容を具体的に見ていきましょう。

「教室外での学習と机上の学習があります。教室外での学習の代表的なものには、高1の夏に長野県・戸隠で開催する2泊3日の校外学習があります。キャンプとハイキングを行い、思う存分自然の中に身を置くのです」

 都会とはまったく異なる環境の中で、野鳥や野生動物の鳴き声を聞くなどして自然に親しみ、生徒たちの五感は風の香りを感じられるように研ぎ澄まされていきます。そしてそんな環境で行われるのが「沈黙の時間」です。

 これは、夜に生徒全員が10メートルくらい離れて大地に寝転び、30分間まったく言葉を発しないで、ひたすら満天の星を眺め続けるというものです。

「生徒たちの感想には、黙ったまま星を見ていると、普段のような生き方で良いのかと、自分の内面を見つめるというのです。いつもと違う環境が人間性に影響を与えているのでしょう」

 また、机上の学習は毎回、前述の趣旨に沿った素材(書籍・ビデオ・音楽など)を与え、生徒たちはそれについて考察し、レポートにまとめていきます。素材はバラエティに富んでおり、いずれも深く考えさせる内容です。

 例えば「いのち」を総合テーマとする高1の素材には、書籍で『愛してるよ、カズ』『豚のPちゃんと32人の小学生』『葉っぱのフレディ』『バカの壁』、ビデオで「尾木ママの特別授業」、音楽で平原綾香の『Jupiter』、アンジェラ・アキの『手紙~拝啓十五の君へ~』などを用いました。

「人間は文章に書いて初めて自分自身の考えや思いがわかる、という面があるでしょう。そうした意味からもレポート作成は必要不可欠な作業なのです」

 提出されたレポートは担当教員がまとめ、書いた生徒の了承を得たうえでクラス全員に公開します。これは自分だけの思索にのめり込み、独りよがりの考え方に陥ってしまわないようにするための防止策です。

「自分自身の考え以外にもさまざまな考え方がある、ということを理解させ、視野を広げるための取り組みです」

高校時代に自分の足元を見つめる経験を

 通常の教科学習ではなかなかできない哲学的な問いと向き合う特別授業「自分を深める学習」。担当教員は希望制で募りますが、授業内容の構成が難しいため、スタート時の担当は野中先生を含めた3名でした。しかし昨年、高い志を持った教員が増え、現在は10名にのぼり、教務力も大きく向上しました。

 では、こうした取り組みによって、生徒たちに劇的な人間的成長は見られるのでしょうか。

「わずか2年間の取り組みですから、人間は大きく変わるものではありません。なかにはあまり乗り気ではなくこの授業を受けている生徒もいるのが実情です。ただ、社会人になったOB・OGから、この授業の話題が出ます。きっと印象深い内容だったのでしょう」

 時を経て精神的に成熟した生徒たちが、ふと思い出すのがこの授業なのです。「自分を深める学習」は、後になって効く授業なのです。

「生徒たちにはこの授業により、ぜひ『自分の足元』をじっくりと見つめてほしいと思います。その体験は間違いなく、将来の大きな糧となるはずです」

(この記事は2016年11月に掲載しました。)

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