
2026年度大学入試において、京都大学合格者を16人輩出した同校。国公立大学には107人が合格し、4年連続の100人超えとなりました。学校推薦型・総合型選抜による国公立大学合格者も増加し、狭き門である京都大学特色入試では4人が合格。
そのメソッドの確立に尽力した、高い実績の“仕掛け人”ともいえる先生方にお話をうかがいました。

★☆★ お話を聞かせてくれた先生方 ★☆★
左/数学科・桑田勝矢先生
右/英語科・中村憲幸先生
担任として、教科担当として6年間伴走。
生徒との信頼関係を築き、「学校推薦型・総合型選抜で国公立大学に挑戦」という選択肢を持つための意識や学力を醸成。
2026年度大学入試の結果をもって、その実践の効果を証明した。
●大事なのは、6年間を通して勉強し続けること
中村先生 2025年度卒業生が中1の時から、学校推薦型・総合型選抜での大学受験という選択肢を持てる取り組みをスタートさせました。まず着手したのは“皆で勉強する雰囲気づくり”。一緒に勉強したり、互いにアドバイスなどをする“バディ”を組ませました。私が担当したクラスでは4人の班に。中3まで、そのスタイルを採用していました。
桑田先生 私のクラスは高2まで。同じ学部を志望する生徒で班を作ると、「自分も頑張ろう」と奮起するきっかけになったり、好成績の生徒も無理なく頑張り続けられる姿が見られました。勉強し続けたことで、スムーズに受験期に移行できましたし、共に受験を乗り切る“団結力”も生まれていたと感じます。
中村先生 進路実現のためには、中だるみすることなく6年間、勉強し続けることが重要です。その土台は、全て中学時代に築かれるといっても過言ではありません。ただ、中学生が「将来に役立つから」という内発的動機を持つことは難しいでしょう。そこで外発的動機の一つに着目して始めたのが、このバディ制。「友だちが頑張っているから」という動機づけです。
桑田先生 高1にもなると、普段から夜まで学校で勉強する姿が見られるようになっていました。「一人で勉強したい」と申し出る生徒も出てきました。自分に合った取り組み方を見つけることにもつながったと思います。

『多読』で使うのは、イギリスの小学校の副読本。語数が明記されており、読んだ語数が増えていくこともモチベーションアップにつながる。「私が担当したクラスの大学入学共通テストの英語の平均点は85点以上でした。共通テスト対策が不要なくらいの実力がついていました」(中村先生)
●"強み" を培う学びと環境
中村先生 英語科では、「高1で英語の課程を終える」ことが目標です。その起点となるのが、9年前に導入した『多読』。2025年度の卒業生が初めて中1から取り組んだ学年です。単語も文法もわからないうちから読んでおくと、授業で「本に出てきたフレーズだ」と気付く瞬間がたくさんあります。テストのためではなく本を読むために勉強するようになったほか、多読で読んだ語数は中3の段階で平均約20万語にのぼり、劇的に英語力がアップしました。
さらに高1の希望者対象で実施している『カナダ研修』を目標とし、中3のうちに英検2級合格を目指します。カナダ研修後の高1後半から、学校推薦型・総合型選抜において大きな武器となる英検準1級に挑みます。そのタイミングでそれぞれ合格した生徒たちが、2026年度大学入試で学校推薦型・総合型選抜で志望大学合格をつかみました。
桑田先生 また、どのような教科でも自分の考えをアウトプットする機会をたくさん与えることを重視。私の数学の授業では、生徒が定期テストに出る問題を予想し、「なぜこの問題が出題されると思うのか」という根拠も添えて発表する場を設けました。2025年度卒業生には、コミュニケーション能力の高い生徒が多かったと感じます。その要因の一つとして、このような授業での積み重ねは大きかったのではないでしょうか。
一人ひとりが探究活動をまとめて発表する機会がある。
●豊富な「経験」の場
中村先生 本校の大きな特徴の一つは、志望理由書やアピールにつながる活動の場がそろっていることにあります。たとえば部活動の社会科学研究会では、京都マラソンや祇園祭でボランティア活動を行っています。また、農学部を志望する生徒にぴったりの、農家の方との協働で天日干しコシヒカリ『東山米』を栽培・販売するプロジェクトも展開しています。
高1・高2では、大学教授による探究ゼミの受講が可能。脳科学を中心に学ぶ『<ヒト>の科学ゼミナール』、小説を分析することで社会について考える『近未来探究文学ゼミナール』のいずれも、自ら設定した研究テーマについてプレゼンテーションします。
桑田先生 志望大学のアドミッションポリシーと今の自分を照らし合わせるワークシートも用意。高1で各自が活動して、高2の夏にワークシートでその活動内容をチェック。満たしていない項目があれば、実践に向けて助言します。
中村先生 2025年度卒業生のなかには、“外国人観光客にインタビューする会”を立ち上げて活動した生徒もいました。

京都府亀岡市内の農家と連携し、1反(約991.7㎡)の田んぼで米作り。田植え・除草・稲刈り・加工・商品化・販売までを協働で担い、これを『東山米』として販売する。ビジネス手法や経済の仕組みを学ぶだけでなく、米作りを通して社会の課題に目を向けることも目的。

観光地である同校の地の利を活かし、外国人観光客にインタビューする会を立ち上げた生徒は、インタビューを通して見出した課題解決を目指し、観光客向けのゴミ箱の場所を記したマップを作成。そこで得た気づきを志望理由書に反映し、海外大学合格を果たした。

大学受験に向けたサポートの大前提となるのが、教員と生徒の信頼関係。
●信頼関係・団結力が学ぶ力に
中村先生 教員のすすめや助言が生徒の行動につながったのは、信頼関係があるからこそ。特に中学時代は、一緒に取り組む姿を見せることが大切です。私も生徒と一緒に英検1級を受検しました。
桑田先生 私は、休み時間は、できる限り教室にいるようにしています。生徒と一緒にドッジボールを楽しんだこともありました。そして、合格を勝ち取ったのは、自ら勉強に取り組める生徒でした。その姿勢を育むためにも、宿題の量は適度にとどめ、やりたい勉強ができる自由度をもたせたいという思いがあります。
中村先生 学校推薦型・総合型選抜で多くの生徒が結果を出すことは、一般選抜に向けて頑張っている生徒にもよい刺激となりました。一体感の中で好循環が生まれたことが、高い進学実績につながったのだと思います。
医学部志望の生徒には、京都府立医科大学名誉教授による『〈ヒト〉の科学ゼミナール』を、文系学部を目指す生徒には、京都教育大学教授による『近未来探究文学ゼミナール』の受講をすすめている。本人の希望や状況に応じて外部での活動も提示している。