
解釈の幅が広くなりがちな「グローバル教育」。
雲雀丘学園では、教育の理念や校風に則してその意義や目的を明確にして〝四本柱〟に定義しました。
自分の「好き」を発見し、将来へつながる「自分の軸」を育む学びが展開されています。

グローバル研修は希望者対象だが、参加した生徒が持ち帰る新たな価値観が、学校全体に新風を吹き込むことに強い意義があると語る。

旅行業界で働いた経験を持ち、留学カウンセラーの資格保持者でもある。その専門性が、同校のグローバル研修にも強く活かされている。
語学力向上や異文化体験、一言で「グローバル教育」と言っても、その定義には多様な解釈があるでしょう。
「本校のグローバル教育とは何かを明確にしたかった」と、グローバル探究部部長の車多厚志先生は語ります。
雲雀丘学園では、大学受験を最終目的としない学問と社会をつなぐ“本物の学び”を追求してきました。学園初代理事長であり、サントリー
創業者の鳥井信治郎氏の「やってみなはれ」の精神、すなわち“挑戦心”を大切にする学校文化が伝統として息づいているのです。
そうした理念のもと、同校のグローバル教育をどのように位置付けるかを教員間でも熟議を重ね、四つの柱が定められました。
まず「1.他者・他文化理解力」。海外に限らず、あらゆる人や価値観を理解できる力です。次に「2.言語能力」と「3.発信力」。自身の考えを適切に伝える語学力運用とプレゼンテーション力・表現力です。そして最も重要なのが「4.好きなことを見つける力」。同校のグローバル教育・探究活動を通して興味・関心が喚起され、それがやがて自身の軸となっていく。価値を生み出し、社会で活躍するための原動力になる自分の“好き”に出会う学び。この四つを満たすことで同校の「グローバル教育」が完成すると考えています。

2026年度からスタートするタンザニア海外研修(写真は視察のようす)。
その具体的な取り組みの一つが、多彩な『海外研修』です。行き先は、アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・インドネシア・台湾・ドイツ・アイルランドに加え、2026年度からはタンザニアも登場。
「本校では、もともと国内での大学や企業との連携による体験・探究活動が充実していました。その活動領域を海外にも向けて、経験の幅や深みをさらに広げたいのです」(グローバル探究部副部長・森川大伍先生)
特に、中高の海外研修先として人気の北米やオセアニア諸国以外の国がラインナップされていることが大きな特徴でしょう。多彩な選択肢には同校のチャレンジングな姿勢が強く表れています。それもまた、初代理事長・鳥井スピリットの表れではないでしょうか。
海外研修の滞在期間は5日~10週間と幅広く、滞在先もホームステイや現地大学の寮などさまざまです。すべての研究に共通しているのは、同世代の現地の若者たちとの交流が組み込まれていることです。対象は中2~高3で、参加は任意のため、スケジュールを工夫して在学中にいろいろな国に数カ所参加する生徒もいます。
参加希望者の志望理由は、「自分の英語力を試したい」というものだけではなく「英語が苦手だからこそ挑戦したい」「チャレンジすることで自分を変えたい」という声も多いそうです。普段はあまり自己主張しないタイプに見える生徒が、現地で積極的に行動する姿も多数見ら
れています。
海外研修は希望制のため参加者は限られます。しかし、異文化の中で得た経験や学びは、参加生徒の発信や日常の関わりを通して周囲へと広がり、クラス・学年、ひいては学校全体に多様な価値観を受け入れる土壌を生み出しています。
今後は海外大学進学サポートにも力を入れ、生徒が自分の人生を見つけられる学校、そしてグローバル教育のあり方を追求していきます。
雲雀丘学園の海外の協定校4校のうちの1校がドイツにあり、約10日間の滞在で、協定校で現地の生徒たちと共に学び、彼らの家庭にホームステイ。
非英語圏の国への訪問になるため言語の壁は高いが、そのハードルが生徒のノンバーバル(非言語)コミュニケーション力を高めていく。
日本語の授業に参加して、日本語や文化を教えるというユニークな体験も可能。
語学力向上を主な目的として、現地の語学学校で英語を学ぶ。語学学校であるがゆえに“英語を学ぶ非英語圏出身の学習者”との出会いが増えるのも特徴的。語学研修が主軸でありながら、多文化共生を実体験から学べる、貴重な機会と言える。
たとえば、クラスメートにロシア人とウクライナ人が同時に在籍することもあるという。現在の国の状態を母国の人々がどう捉えているのかを聞くなど、なかなかできないリアルな学び。

ドイツ研修

アイルランド研修
「『やっと会えたね』で始まる研修」と言われている台湾研修。台湾は協定校がある地域の一つだが、台湾研修にさきがけ、両校の生徒たちが合同で4カ月にわたって事前学習に取り組んでいる。英語でオンライン交流しながら、日本と台湾の文化的な共通点や違いなどをまとめるプロジェクト学習だ。そのため、実際に会うときにはすっかり友情が築かれた状態なので、「やっと会えたね」で始まるというわけである。
2026年度から導入される新たなタンザニア研修は、まさに“超・異文化体験”。アフリカの国には、貧困や治安にまつわるネガティブなイメージを抱きがちだが、それは真実なのか。「恵まれない人たち」に「~してあげる」という考えは、実は差別的な発想ではないのか。そうした本質に迫りながら、急激な経済発展を遂げつつあるアフリカのエネルギーを目の当たりにする。常識や価値観が大きく覆るダイナミックな旅として、大きな期待が寄せられている。

台湾研修

タンザニア研修(イメージ)