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私立中高進学通信

2026年9月号

私たち、僕たちが大好きな先生

八王子学園八王子中学校

生徒の考える力を引き出し
歴史の学びを人生に活かす

社会科 山下 航輝(やました こうき)先生
社会科教員。国立大学社会学部で歴史を専攻。
2025年に同校へ着任し、現在2年目。
高2の担任を務める。高1の社会探究と高2の世界史を担当。

「学ぶことの大切さを教えてくれる」「一人ひとりのことを考えて、見守ってくれる」と、生徒から厚い信頼が寄せられている社会科・山下航輝先生。生徒と向き合う時に心がけていること、「自分で考える力」を引き出す授業の工夫について伺いました。

歴史への興味と
「教えることが好き」という思いから教員へ

――どんな中高生時代を送っていましたか?

 中高一貫の私立男子校に通っていました。小学校高学年の頃、何となく学校生活に過ごしづらさを感じるようになり、思い切って環境を変えようと自分で中学受験の道を選びました。

 志望中学に合格し、入学してみると、自分と同じように「面白い」と思うことに夢中になっている人がたくさんいました。とても居心地が良く、のびのび過ごせた6年間でした。

 小さい頃から戦国時代に関する本や伝記を読むことが好きだったので、中高では歴史研究部に所属しました。放課後にみんなで本を読み、筆者ごとの見解の違いについて「こういう理由でこの意見が合っているはず」と議論したり、文化祭に向けて合戦の陣形のジオラマを作ったりして楽しかったです。振り返ると、テーマや内容に未熟さはあったと思いますが、顧問の先生は生徒の着眼点を否定せずに見守り、「そのままやってみよう」と背中を押してくださいました。その経験が、教員となった今の考え方の土台になっています。

――教員になろうと思ったのはいつ頃ですか?

 高校で世界史を学ぶと、より歴史への興味が強まりました。そして、人に何かを説明したり、面白いと思ったことを伝えたりするのが好きだったので、歴史を教える教員を将来の仕事として考えるようになったのです。

 そこで国立大学の社会学部に進学し、教職課程を履修しました。歴史を専攻し、中国史を専門的に学びました。漢文史料を、辞書を片手に少しずつ読み解くような研究を通じて、知識を増やすことはもちろん、「歴史的な事象を自分なりにどう解釈するか」という視点も鍛えられたと感じます。

――高1の「社会探究」と高2の「世界史」の授業を担当されています。

 2025年に新卒で本校に着任し、今年で2年目です。高1の社会探究は、学期ごとに生徒が自分で社会問題について問いを立て、探究結果を論文にまとめる授業です。大学での学びや総合型選抜入試を見据えた論理構成の指導などを行います。世界史の知識を教えるのとはまた違ったアドバイスを投げかけています。生徒のテーマがどれほど個性的であっても、「自由に自分の作品を作ればいいよ」と応援するように心がけています。

 高2の世界史では、出来事を一つひとつ覚えるというより、歴史の流れや原因、そして事象同士の比較を意識できるように指導しています。時代が異なる出来事でも、「どこか似ているところ、共通しているところはないか」と考えてほしいのです。

 歴史をはじめ社会科を学ぶ意義のひとつが、自分の内側にあるモヤモヤしたもの、表現しがたいものに「言葉」を与えることだと考えています。遠く離れた時代の出来事が、自分が今抱えている悩みや身近な問題とつながっていると気づけば、その出来事から得られた教訓は、自分の人生に活かすことができます。

 AIに聞けばそれらしい答えがすぐに出てくる時代だからこそ、生徒には自分なりに出来事をつなげて意味を見いだし、それを自分のために活かす思考のプロセスを身につけてほしいと願っています。

 そこで授業では、例えば「貧しさに耐えかねた農民が立ち上がる出来事って、前にもあったよね?」と問いかけ、彼らの中に思考の流れが生まれるように心がけています。

大切にしていることは
「人格の尊重」

――クラス担任として心がけていることを教えてください。

 高2の特進クラスを担当しています。思いやりがあり、周りのことをよく見ている生徒が多いです。みんなが穏やかに過ごせるよう、ほどよい距離感を自然に保っている印象です。

 本校には「人格を尊重しよう」というモットーがあります。これは教員にとっても大切なことです。指導と称して生徒を画一的な型にはめるのではなく、個人として今どんなことを考えているのか、どんな背景があるのかを聞いて、できるだけていねいに関わるよう努めています。

 折々に生徒へ届けたいメッセージは、感情的にならないよう、あえて保護者の方やほかの教員も読むことができる「Google Classroom」を活用し、文章で発信しています。テスト期間中に「やるべき時に、やるべきことをしっかりやろう」「逃げたくなる弱い自分に勝とう」と書いたところ、ある生徒がその画面をスマートフォンの待ち受けにして自分を鼓舞していると聞きました。これは本当にうれしかったですね。

 生徒は自分の選択に責任を負って、その後の人生を歩んでいきます。そのことに気づいて、将来の自分が振り返った時に納得できるような高校生活を送ってほしいと思っています。

――受験生にメッセージをお願いします。

 受験勉強はもちろん大切ですが、一見すぐには役に立たなそうな好きなことや、興味のある本を読む時間も大切にしてほしいです。国語や算数といった教科の枠に収まらない学びであっても、好きなことをやり続けることが、結果として視点を多角的にし、思考の幅を拡げていってくれるはずです。

 中学受験は、自分に合う環境に出会える機会でもあります。本校は、「面白い、楽しい!」と思えることにのびのびと取り組める学校です。さまざまな個性を認め、尊重し合う温かい雰囲気に満ちています。文化祭なども生徒主体で活気があるので、ぜひ一度訪れてみてください。

「昼休みや放課後に教室へ行って、生徒と雑談するのも楽しみの一つです」と山下先生。
高2の世界史選択の授業。
生徒の声
高2 Y・Gさん

 優しく相談しやすい先生で、全員が受験にしっかり向き合えるよう、学びに前向きな雰囲気をつくってくださいます。


高2 T・Aさん

 時に厳しい言葉で生徒の成長を促しながら、一人ひとりの努力を温かく認めてくださる先生で、心強い存在です。


高2 M・Rさん

 学びがいかに大切か、熱いメッセージを生徒に届けてくださいます。「私も頑張ろう」と思わせてくれる先生です。

進学通信 2026年9月号
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