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私立中高進学通信

2026年9月号

変わる私学!

品川女子学院中等部

生徒の「余白」が未来を創る
朝の『0限』で学校生活がより柔軟に!

未来志向の教育改革

学習・読書のほか、委員会活動や学校が開講する特別講座、企業と連携した講座に参加するなど、
生徒が主体的に選択して過ごすことができる『0限』。
写真は特別講座『てつがくぶ』の様子です。

 社会に良い変化を起こす「チェンジエージェント」の育成に力を入れる同校。生徒が主体的に時間の使い方をデザインしていく新たな挑戦について、中等部校長の神谷(かみたに)岳先生にお話を伺いました。

生徒の裁量で自由に活用
『0限』導入の背景
中高の生徒による有志団体『Artry!』も、『0限』を使って活動中。美術館とのコラボ企画や文化祭での起業体験など、幅広いアート活動を展開しています。

 2025年に創立100周年を迎えた品川女子学院は、常に時代の先を見据え、ユニークな教育プログラムを次々と打ち出してきました。2026年度には、さらに大きな一歩を踏み出します。それが、朝の自由活動時間『0限』の導入と、それに伴う「45分授業」「二期制」への転換です。

「本校の生徒たちは、学習に一生懸命取り組むことはもちろん、クラブ活動や委員会、行事の実行委員など何事にも意欲的に取り組み、日々マルチタスクをこなしています。しかし、その高い意欲ゆえに、生徒たちの日常が非常に忙しいものになるという課題がありました」と、中等部校長の神谷岳先生は改革のきっかけを振り返ります。

 クラブ活動の後に委員会や探究活動の話し合いをしようとしても、最終下校時刻を過ぎてしまい、帰宅後にオンラインで打ち合わせをするようなケースもあったといいます。“自分で考えて動く”という生徒本来の良さをさらに活かすため、もう少し余裕のある、自由な時間を学校生活の中につくることを考え、生まれたのが『0限』なのです。朝8時15分から9時までを、自由な活動時間『0限』に設定。完全な任意登校で、出欠確認も9時5分からのホームルームで行われます。

 0限の時間を生み出すためには、学校全体で時間割を再編成する必要がありました。そこで、1コマの授業時間を従来の50分から45分へと短縮。さらに年間の授業時間数を確保するため、二期制も導入しました。

「二期制を導入したことで、定期試験は年間4回となります。これにより授業時間が確保できるだけでなく、試験前のクラブ活動休止期間も減り、活動が継続しやすくなります。さらに長期休業を2日程度短縮することで、年間の総授業時間数は削らず、むしろ少しプラスとなるように設計しました」

 午後のクラブ活動の開始時刻はこれまでどおり16時から。総授業時間を確保しつつ、放課後の活動時間を守るための工夫が施されています。

学習面の不安を取り除く
きめ細かなサポート

 0限・45分授業・二期制が実現に至るまでには、数年かけて慎重な議論が重ねられました。二期制になって定期試験が減る分、日々の授業への平常点の割合を増やし、提出物や授業への関わり方がしっかり評価されます。

 また、前期の期末試験を夏休み直後の9月に設定することで、夏休み中も学習への意識が持続できるようになっています。中等部では、夏休み中の登校日を活用し、課題の進み具合を確認するなど、きめ細かなフォロー体制も整えています。

「0限では、『教員が生徒の成績に影響するような強制を伴う活動をしてはならない』というルールを定めました。あくまでも0限は、生徒の自主性を尊重する自由な時間となるよう徹底しています」

図書室は満席!
朝活を楽しむ生徒たちのリアル

 0限の導入後に生徒たちが見せる反応は、予想を大きく上回るものでした。

「0限の始まる8時15分に、誰も来なかったらどうしようかと思いました」と笑う神谷先生ですが、実際にはカフェテリアや図書室が満席に近い状態になるほど、朝から多くの生徒でにぎわっています。

 生徒たちの過ごし方は多様です。自習や読書をする生徒もいれば、探究や有志の活動、行事の打ち合わせをするグループもあり、それぞれが自分らしく時間を使っています。中1生には『スタンプカード』を用意するなど、軽い動機づけも行われています。

 0限ができたことで、社会人講師を招く同校名物の『特別講座』にも変化が生まれました。これまでは放課後の実施だったため、「クラブ活動と重なって出られない」という声が多く上がっていましたが、社会人講師も朝なら出社前に登壇しやすく、開講される講座も増え、さまざまな学びに触れるチャンスが広がりました。

「世の中の変化に合わせて学校自身が変化し、違いを生み出すことが大事だと思っています。生徒には自分の頭で考えて、自由に動いてほしい。それが実現できるよう学校全体を方向づけていきたいと考えています」

 今後は生徒へのアンケートなどを実施して分析し、0限の使い方や45分授業の成果をていねいに検証していく予定だといいます。文部科学省では現在、学校の裁量で授業を増減できる「調整授業時数制度」の導入が検討されています。同校の改革は、そうした時代の流れを先取りしながら、生徒の主体性を育む学びをさらに進化させていく挑戦といえるでしょう。

変わるポイント
自らの時間と未来をデザインする
チェンジエージェントへ
中等部校長・高等部副校長
神谷 岳先生

 創立100周年を迎えた2025年度から、本校は『チェンジエージェントプロジェクト』を推進しています。そこでめざす明確な生徒像は、起業家的なマインドをもち、自ら社会の課題を見つけ、多様な人を巻き込みながら変化を生み出していく人物です。そんな「チェンジエージェント」の育成をめざして、今回の教育改革を進めています。

 改革を象徴する取り組みの一つが、毎朝にまとまった自由時間が取れる『0限』です。生徒一人ひとりが時間の使い方を主体的に選び、自ら時間をデザインする力を育むことも、この取り組みのねらいです。

UPDATE
改革によって新しくなった生活スケジュール
2026年度より始まる新たな教育環境
『0限』で自学自習をしたい生徒のために、自習用の教室を用意。カフェテリアや図書館で自習する生徒も。

品川女子学院の1日

 2026年4月より導入された、0限・45分授業・二期制により、学校生活にさらなるメリハリが生まれました。参加自体も生徒の裁量に任されている『0限』が設けられたことにより、予習やテスト対策に充てたり、特別講座で新たな学びに出会ったりと、生徒それぞれが自分なりの工夫をして、新たな時間を創出しています。

2025年、A棟の完成によりB棟・C棟と連結。新校舎がここに完成しました。
進学通信 2026年9月号
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