私立中高進学通信
2026年8月号
中学入試のポイント
東邦大学付属東邦中学校
知識の暗記ではなく、思考力や
教科への興味・関心を見る
定員の約8割を募集する前期入試では、4教科(各100点・各45分)の学力試験を実施している同校。理科と社会科では、学んできた知識の応用力や思考力が問われる出題になっています。
自然科学への
好奇心や関心を問う
確かな学力の育成に加え、探究的な学びや理数教育にも力を注ぎ、自ら考え、課題解決に取り組む力を育む東邦大学付属東邦。同校の入試では、国算理社4教科の力がまんべんなく問われています。例年、理科は大問6~7題で構成され、物理・化学領域(第1分野)と生物・地学領域(第2分野)から出題されます。第1分野では計算力や思考力、与えられた条件を読み解いて組み立てる力が重視され、第2分野では自然科学や時事問題への興味・関心が問われます。
「本校の入試では、教科書の知識を知っているだけでは解けない問題を、意識して出すようにしています。例えばヒトの臓器の図は、スタンダードな腹部側からではなく、背中側から見たものをあえて出題しました。また、近年問題になっているPFAS(※)と呼ばれる化学物質を扱い、ニュースへの関心や、類似の環境問題を想像する応用力も見ています」(理科/藤原加苗先生)
2026年度入試の理科では、電流(回路)に関する問題の正答率で差がつき、合否を分けるポイントとなったそうです。実験結果からわかることを読み解き、条件が変化した際にどうなるかを段階的に考えさせる問題です。
「回路は中学入試の定番問題ですが、表やグラフの読み解きに『温度が高くなると抵抗が変わり、電流が比例しなくなる豆電球』というイレギュラーな要素を加えました。こうした初見の条件が入った時でも、慌てずに思考力や応用力が発揮できるかを問うています。
説明会などでよくお伝えするのは、『過去問演習を大切にしてほしい』ということです。本校は、求める生徒像やその資質を見極めるための出題傾向が定まっており、それが入試問題にもダイレクトに表れています。本校からのメッセージとして、過去問を活用してほしいですね」(理科/清水裕樹先生)
※PFAS…有機フッ素化合物。水や油をはじく特性をもつ人工化学物質の総称。
入試は「最初の授業」
社会への興味の入り口に
社会科では、地理・歴史・公民の3分野から大問が1題ずつ出題され、そのなかには分野をまたいだ複合的な問題も含まれています。地歴公民科・教科主任の上野唯一先生は、「入試自体を受験生に向けた『最初の授業』であると捉え、問題を作成しています」と話します。
「問題文に長文が多いのは、一緒に授業を受けている気持ちで、考えながら問題を読んでほしいからです。暗記教科だと思われがちですが、実は社会科ほど詰め込みの知識が通用しない教科はありません。問題を読み解く国語力、計算力、背景を想像する力も必要です」(上野先生)
例年出題がある「時事問題」では、出来事を知っているか否かではなく、背景を想像する力や思考力が問われています。
「2025年の戦没者追悼式で述べられた『天皇陛下のお言葉』を題材にした問題では、戦後80年という節目の年に、これまでになかった新たな内容が盛り込まれた理由を問うことで、背景にある歴史的・社会的な状況を想像させるねらいがあります。自分が経験できないことだからこそ、想像力を働かせ、気づきを得る力を重視しています。
近年は、ネットニュースなどで自分の好きな情報だけを選び取る環境が主流になり、テレビや新聞などを通して共通の情報を得る機会が減っています。しかし、さまざまな価値観に触れることは、社会科の土台となる広い視野をもつうえで欠かせません。ですから、受験生のご家庭にこそ、『テレビをつけっぱなしにしてください』と伝えたいです。ニュースや社会問題などについて身近な人と会話をすることが、実はいちばんの勉強になると思っています。
私たちは、思考力や想像力を最初から備えた生徒を求めているわけではありません。入試問題が、お子様が日々の出来事に興味をもち、いっしょに考えるきっかけになってくれればうれしいです。問題を読んで『面白い』と感じたら、ぜひ本校の入試に挑戦してみてください。皆さんの受験をお待ちしています」(上野先生)
(この記事は『私立中高進学通信2026年8月号』に掲載しました。)
東邦大学付属東邦中学校
〒275-8511 千葉県習志野市泉町2-1-37
TEL:047-472-8191
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