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私立中高進学通信

2026年8月号

実践報告 私学の授業

文化学園大学杉並中学校

イノベーションリーダーを育成する
『ILコース』が始動!

複雑な社会を自らの視点で再解釈し、未来をカタチにする力を養う
ILコースならではの『デザイン思考・アート思考』の授業を取材しました。4名ずつのグループワークで、アート思考・デザイン思考に基づいてゴミ箱を考案し、製作する授業が行われました。まずはさまざまな視点からアイデアを出し合い、付箋に書き入れます。

探究シーン1
ILコースならではの『デザイン思考・アート思考』の授業を取材しました。
4名ずつのグループワークで、アート思考・デザイン思考に基づいてゴミ箱を考案し、
製作する授業が行われました。
まずはさまざまな視点からアイデアを出し合い、付箋に書き入れます。

 AI時代に求められるのは、答えを探す力ではなく、問いを立て、新たな価値を生み出す力です。ILコースでは、そんな力をもった未来のイノベーションリーダーを育てる学びが始まっています。

『生み出す力・巻き込む力・
形にする力』を育成
染谷昌亮先生BSICEセンター長・理事長補佐/染谷昌亮先生

 2015年のダブルディプロマコース(※)新設を皮切りに、STEAM教育やプロジェクト型学習など先進的な教育を積極的に導入している文化学園大学杉並。2026年には、これまで取り組んできた次世代教育の集大成ともいえる『イノベーションリーダーズコース(以下ILコース)』が高校に新設されました。

「ILコースでは、『社会の明日を照らすイノベーションリーダーの育成』を教育目標に掲げています。その実現に向け重視しているのが、企業・大学・自治体・NPOなど外部パートナーとの連携・共創です。生徒たちは多様なパートナーと協働しながら課題を発見し、解決策を構想し、それを社会実装へとつなげる経験を積んでいきます。
 こうした共創のプロセスを通して、生徒たちの『生み出す力・巻き込む力・形にする力』を培うことこそが、ILコースの核となる学びです。AIやデザイン思考、アントレプレナーシップなども学びながら、社会に新たな価値を創造し、日本の社会にイノベーションを起こせる人材を育てていきたいと考えています」

 こう語るのは、学校改革の立役者であり、学校併設の研究機関BSICE(文化杉並教育イノベーションセンター)でセンター長を務める染谷昌亮先生です。ILコースの先進的なカリキュラムは、このBSICEが中心となって設計しています。

「ILコースのカリキュラムは、教科学習である『基礎科目』、学校の枠を超えて社会人から専門的な知識や技能を学ぶ『学校設定科目』、そして目標とするコンピテンシー(資質・能力)を設定し、生徒自らがプロジェクトを企画・実践する『プロジェクト科目』で構成しています。進級に伴い、『学校設定科目』と『プロジェクト科目』の割合を高めることで、自ら見いだした課題に対する解決策を考え、社会実装へとつなげる経験を積んでいきます」

※ダブルディプロマコース…日本の高校課程と並行して、カナダ・ブリティッシュコロンビア州のカリキュラムを履修するコース。BC州教員によるオールイングリッシュの授業を通して単位を修得し、卒業時には日本とカナダ両国の高校卒業資格(ダブルディプロマ)を取得します。卒業生の約30%が海外大学へ進学します。

デザイン思考・アート思考で
問いを立て、考えを形にする

 今回は、ILコースの学びを象徴する学校設定科目の一つである『デザイン思考・アート思考』の授業を取材しました。講師を担当する株式会社Kumanomicsの橋本直樹さんは、経済産業省で政策立案に携わった経験と、美術大学で学んだアート思考・デザイン思考をもとに、生徒たちの創造力を引き出していきます。

 生徒たちはこれまでの授業で、デザインの本質は「当たり前を疑う」「意味を再定義する」「その意味にふさわしい形を与える」ことだと学んできました。今回のテーマは「ゴミ箱」。まずは「そもそもゴミ箱とは何か」という問いから発想を広げ、関連する概念をマッピングしながらコンセプトを設定します。その後、グループでアイデアを磨き上げ、段ボールなどを使って実際に作品を製作。完成後は発表と相互評価を行い、それぞれの着眼点や工夫点について意見を交わしました。

「この授業でめざしたのは、単に良いゴミ箱を作るということではありません。『ゴミ箱とは何か』と前提そのものを問い直し、新たな視点から価値を生み出す力を育てることです。複雑で不確実な社会を自らの視点で捉え直し、未来を形にする力を養ってもらいたいと考えています。
 AIが答えを返してくれる時代だからこそ大切なのは、『なぜそうなるのか』『本質は何か』と問いを立てる力です。既成概念を疑い、当たり前を問い直すことで、新たな発想や可能性が生まれてきます。この授業では、定義された正解を探すのではなく、まだ言語化されていないニーズを見つけ出し、多様な人と協働しながら形にしていく力を育んでいきたいです」(橋本さん)

ゴミ箱の設置場所・捨て方・人間心理などさまざまな視点から出たアイデアをマッピングし、そのアイデアを融合させ、ひとつの形に作り上げていきます。探究シーン2
ゴミ箱の設置場所・捨て方・人間心理などさまざまな視点から出たアイデアをマッピングし、そのアイデアを融合させ、ひとつの形に作り上げていきます。
グループごとに、手近にあるモノを使ってゴミ箱のコンセプトを表現していきます。アイデアをわかりやすく伝えるにはどうつくればいいのか、短時間で考えながらつくります。探究シーン3
グループごとに、手近にあるモノを使ってゴミ箱のコンセプトを表現していきます。アイデアをわかりやすく伝えるにはどうつくればいいのか、短時間で考えながらつくります。
ゴミ箱の完成後は、各グループのプレゼンタイム。講師の橋本さんは、フィードバックの視点について解説。「良かった部分」「改善すべき部分」「新たなアイデア」「わからなかった部分」をコメントするよう促します。探究シーン4
ゴミ箱の完成後は、各グループのプレゼンタイム。講師の橋本さんは、フィードバックの視点について解説。「良かった部分」「改善すべき部分」「新たなアイデア」「わからなかった部分」をコメントするよう促します。

探究シーン5
プレゼンタイムでは、各グループのメンバーが1名ずつ順番にプレゼンターを務め、
ほかの3名は他グループの作品を見て回り、プレゼンを聞いてコメントします。
同じゴミ箱のアピールでも、それぞれの説明に個性があり、発信力も磨かれていきます。

生徒に聞きました
目標は高校生起業家!
異なる視点や発想法が身につく学び
Oさん(ILコース・高1)Oさん(ILコース・高1)

 スティーブ・ジョブズの伝記を読み、その生き方に強く影響を受けました。進路を考えていた時にILコースの新設を知り、「ここだ!」と思って進学を決めました。ILコースはどの授業も面白く、頭の使い方そのものが変わったような感覚があります。数学では、「自分たちで参考書を作る」プロジェクトに挑戦。教科書を読み込んで担当単元を深く理解し、どうすればわかりやすく伝えられるかを考えながら教材を作成しました。さらに教え合うことで、伝える力を磨きながら理解を深められたことも貴重な経験です。

 将来の目標は在学中に起業すること。その実現に向けて、多くの人と出会い、経験を積んでいきたいです。個性豊かなクラスメートと共に、一般的な高校では学べないことがたくさん経験できる、おすすめのコースです!


問いを立てれば未来は変えられる
ILコースの魅力を広めたい!
Iさん(ILコース・高1)Iさん(ILコース・高1)

 もともとリーダーシップを発揮することが好きで、将来の可能性も広げられると思いILコースへ。毎日の学びはとても刺激的で、今はプロジェクト科目で学校の最寄り駅「阿佐ヶ谷」周辺の地域活性化に取り組んでいます。そのなかで先生から教わったのが、「理想と現実のギャップに問いを立てることが大切」という考え方です。この考え方は授業に限らず、部活動や日常生活にも生きています。私は高校からバドミントン部に入りましたが、初心者なので理想と現実の差に悩むことも。そこに「何が課題なのか」と問いを立てることで、一歩ずつ前へ進めることに気づきました。

 ILコースの学びで得られるのは、実生活や社会で役立つ力ばかりです。思考力や発信力をさらに磨き、1期生としてコースの魅力を広く伝えていきたいです。

ココに注目!
人生と社会を
自らデザインする力を育成
橋本直樹さん

 講師を務める『デザイン思考・アート思考』の授業が始まって2カ月ほどですが、生徒たちは今、一人ひとりが良いアイデアを生み出せるようになってきた一方で、それらをグループの中でどう融合し、形にしていくかという壁に直面しています。異なる意見や思いをつなぎながら、一つの価値を創り上げていく難しさを実感している段階です。

 授業では毎回振り返りの時間を設け、自分たちの課題やコミュニケーションのあり方について考える機会をつくっています。私は答えを教える立場ではなく、生徒たちと共に問いに向き合い、伴走する存在でありたいと考えています。生徒たちの創造性をどう広げ、社会で活躍する力へいかにつなげていくかを、常に模索しながら授業を行っています。(株式会社Kumanomics 代表取締役/橋本直樹さん)

(この記事は『私立中高進学通信2026年8月号』に掲載しました。)

文化学園大学杉並中学校  

〒166-0004 東京都杉並区阿佐谷南3-48-16
TEL:03-3392-6636

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