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私立中高進学通信

2026年8月号

注目! News and Topics

横浜女学院中学校

理系への探究心を6年間で育む
「サイエンスクラス」を始動

仲間と協力しながら実験に取り組む生徒たち。探究型の理科教育を通して、自ら問いを見つける力を育んでいます。

仲間と協力しながら実験に取り組む生徒たち。
探究型の理科教育を通して、自ら問いを見つける力を育んでいます。

探究型の学びを土台に
サイエンスクラスを新設
鈴木雅子校長先生(左)と理科の今井智章先生(右)鈴木雅子校長先生(左)と理科の今井智章先生(右)

『Seek the highest.』(広く知り、深く学び、高みをめざして)をモットーに、生徒のチャレンジする姿勢を大切にしている横浜女学院。理系進学者も年々増加しており、2025年度は理工系や医療系を含めると、約4割の生徒が理系分野へ進学しています。こうした流れを受け、2026年度から新たに始動するのが「サイエンスクラス」です。既存の「国際教養クラス」「アカデミークラス」に加わる3つ目のクラスとして、中1から理数教育に力を注ぐ6年間一貫の学びを展開していきます。

「本校では長年にわたり、中1・中2で数多くの実験に取り組んできました。2025年度に改めてリスト化してみたところ、年間100を超える実験を行っていたことから、この期間の取り組みを『#101の実験』と名付けたのです。追求しているのは実験の数だけではなく、生徒たちが自ら問いを見つけ、仲間と意見を交わしながら学びを深めていく姿勢です」(理科・今井智章先生)

 みずみずしい感性をもつ中学生の段階で、いろいろなものに触れて、知識を吸収するだけではなく、生徒自身が「なぜだろう」と考え、仲間とも協力しながら答えを探していく。同校では、豊富な実験を通して培う思考力や分析力に加え、探究型の学びを実践して仲間と協力する力も養っています。

 新設されるサイエンスクラスでは、こうした従来の理科教育をさらに発展させ、探究心や論理的思考力をより深く育んでいくことを目標としています。

「理科にCLIL(教科学習と英語学習を組み合わせて学ぶ体験的な学習法)を取り入れ、理科を英語で学ぶ授業も構想中です。加えて、『創造数学』という独自科目も検討しています。問題を解くだけでなく、生徒自身が新しい考え方を生み出していくという学びです。中3以降は『理数探究』にも力を入れる予定です。生徒が自らテーマを設定し、理科・数学教員と共に研究を深めていきます。対象分野も多岐にわたり、物理や化学、生物だけでなく、統計やデータサイエンスなども視野に入れています」(今井先生)

大学連携とスタディツアーで
主体的に学ぶ力を育む

 探究学習を支えているのが、大学との連携です。東北大学との連携も、生徒たちの探究活動を支える重要な取り組みとなっています。

「生徒たちは東北大学の研究者と交流しながら、生ゴミをエネルギーに変換する研究や、海洋プラスチック問題をテーマとする探究活動にも取り組んできました。鯛のうろこの構造に着目し、『プラスチックの代替素材になる可能性はないか』と考えた生徒たちは、東北大学青葉山キャンパスにある次世代放射光施設『ナノテラス』で実験を行う機会も得ました」(鈴木雅子校長先生)

 ナノテラスは、ナノレベルの物質構造を観察できる世界最先端級の研究施設です。材料科学や生命科学など幅広い分野の研究に活用されています。

「当初は、生徒自身のなかに興味や課題意識が生まれても、研究者の先生方に質問したり、自ら行動を起こしたりすることに、どこか遠慮がちな様子も見られました。それが、今では大学の先生に自分で連絡し、主体的に研究を進めていくまでになりました。知的好奇心に従って自ら動き、自分の言葉で発信していく。その姿勢は確実に育っていると思います」(鈴木校長先生)

 東北・鳴子や長崎の対馬を訪れるスタディツアーでは、森林資源の循環やエネルギー問題を学びます。

「生徒たちは、自分たちが学校で使っている机や椅子の材料である木の伐採を実際に経験し、建材へと加工される工程も見学します。さらに、役目を終えた木材がエネルギーとして循環していく流れにも触れながら、環境問題や資源活用について理解を深めていくのです。また対馬スタディツアーでは、海洋プラスチック問題や生物多様性に加え、歴史、国防、地域課題なども横断的に学んでいます」(鈴木校長先生)

 文系・理系に分けて考えるのではなく、社会課題を多面的に捉える視点を養うことも、同校が大切にしている学びのひとつです。

「『理系だから』『女性だから』と、自分で限界を作ってほしくないのです。現在はまだ女性研究者が少ない状況ですから、そこに不安要素を感じ、尻込みしてしまうかもしれません。でも、『私はこの分野で社会に貢献したい』と思ったら、臆せず挑戦してほしいのです。女子校だからこそ、その一歩を後押しできると確信しています。そして、キリスト教教育を土台に、『自分を愛するように他者を愛する』精神を育みながら、自分らしく社会貢献できる人へと導いていきたいですね」(鈴木校長先生)

 同校には、探究活動、海外セミナー、大学連携、スタディツアーなど、多様な挑戦の“仕掛け”があります。数多くの経験を通して、生徒たちは少しずつ「自分がワクワクするもの」と出会っていくのです。

「中高時代に身の回りの事象や社会に知的好奇心を傾け、大人になっても新しい発見に胸を躍らせる。そんな自ら学び続ける人になってほしいのです。サイエンスクラスでも、興味をもった対象を主体的に探究していく姿勢の育成を教育の軸に据えていく予定です」(鈴木校長先生)

鳴子スタディツアーでは、生徒たちが実際に木材伐採を体験。森林資源の循環や林業の役割について学びました。鳴子スタディツアーでは、生徒たちが実際に木材伐採を体験。森林資源の循環や林業の役割について学びました。
生徒たちが日々使用する天然木の机と椅子。鳴子スタディツアーで見学した森林資源を活用して制作されています。生徒たちが日々使用する天然木の机と椅子。鳴子スタディツアーで見学した森林資源を活用して制作されています。
海岸に打ち上げられた大量の漂着ごみを前に、海洋プラスチック問題について学ぶ生徒たち。対馬スタディツアーでは、地域が抱える環境課題を現地で体感します。海岸に打ち上げられた大量の漂着ごみを前に、海洋プラスチック問題について学ぶ生徒たち。対馬スタディツアーでは、地域が抱える環境課題を現地で体感します。
大学時代は海洋生物を研究し、フグ毒の研究にも携わっていた今井先生。さまざまな生き物の観察などを通して、生徒たちの生物への探究心を引き出しています。大学時代は海洋生物を研究し、フグ毒の研究にも携わっていた今井先生。さまざまな生き物の観察などを通して、生徒たちの生物への探究心を引き出しています。

(この記事は『私立中高進学通信2026年8月号』に掲載しました。)

横浜女学院中学校  

〒231-8661 神奈川県横浜市中区山手町203
TEL:045-641-3284

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