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私立中高進学通信

2020年1月号

未来を切り拓くグローバル教育

聖学院中学校

本気で貢献したい!という
思いが自らを成長させる

カンボジアでのソーシャルビジネス支援
カンボジア研修(Mission On the Ground)では、現地でソーシャルビジネスの開発と実践に取り組みます。

カンボジア研修(Mission On the Ground)では、現地でソーシャルビジネスの開発と実践に取り組みます。

社会貢献の意識と
行動力を育てる研修

 同校では今年からカンボジア研修(Mission On the Ground)をスタートさせました。

「カンボジア研修は本校伝統のタイ研修(※1)と同様、貢献する心を育てることが根底にあります。いわゆるビジネスエリートを育てるためのスキルアップに特化した研修とは一線を画すものです。
 現地の人たちに共感し、カンボジアのソーシャルビジネスに当事者として関わろうという、本校の教育理念と共鳴する意識を持つNPO法人『very50』に協力を呼びかけ、カンボジア研修のプログラムがスタートしました」

 と、国際教育部長の児浦良裕先生は話します。

※1 タイ研修…今年で29年目を迎える聖学院伝統の研修。タイの孤児院を訪れ、現地の少数民族の子どもたちと寝食を共にしながら交流や社会奉仕活動を行う。

手厚い“教育”から
自ら成長する“学び”へ

「現地での活動に集中できるように、約2カ月間にわたる事前研修・準備を経て、8月に9泊10日でカンボジアに滞在してプロジェクト活動を行いました。
 生徒たちは2チームに分かれて、カンボジアのソーシャルベンチャー企業のプロモーションや商品開発などの支援に取り組みます。出発前に日本でいくつも仮説を立てて準備を整えたことで、現地では実践、失敗、失敗の修正、再び実践という濃密な体験を積み重ねることができ、大きな成果を得られました」

 事前研修を含めた研修期間やその内容を考えると、カンボジア研修のプロジェクトと学校生活との両立は、決して簡単なものではありません。にも関わらず、予想を上回る約30名もの生徒が参加を希望しました。参加した生徒たちに話を聞くと、中学生・高校生なりに問題意識を持ち、成長したいという意欲を持っていることに驚かされます。児浦先生はこの点について次のように話します。

「生徒たちは自ら学ぶ力を持っています。その力を、中高一貫教育の6年間で醸成していくことが本校の教育です。
 日常の学校生活では、手厚い指導体制のもと、着実に学力や思考力のスキルアップを図り、徐々にパラスポーツ(※2)支援や学生団体の立ち上げなど国内で社会と関わる機会を増やし、自立して学ぶ姿勢を育て、社会貢献への意識を芽生えさせていきます。
 そのうえで、タイやカンボジアという海外で実践的なプロジェクトに挑戦する生徒たちは、教員の手を借りず自ら力を開花させていきます。
 他者への貢献というモチベーションを持つことで、生徒は限界を超えて自ら成長していきます。カンボジア研修を通して、生徒たちは我々が想像していた以上の成長を見せてくれました」

 新たな教育がしっかりと実を結んでいる背景には、同校が伝統としてきた、生徒一人ひとりを大切に育てるきめ細かな指導体制があるのです。

※2 パラスポーツ…広く障がい者スポーツを表す言葉です。

生徒インタビュー
右から、児浦良裕先生、水沼昂次場士さん (高2)、岩崎秀直さん(高2) 、中川響さん (高1) 、鈴木快さん (高1)。右から、児浦良裕先生、水沼昂次場士さん (高2)、岩崎秀直さん(高2) 、中川響さん (高1) 、鈴木快さん (高1)。

 カンボジア研修(Mission On the Ground)は、Rokhakチーム(女性観光客向けの商品を販売する店舗開発)とLavender Jeepチーム(女性観光客向けのジープツアーの開発)の2チームに分かれ、日本での約2カ月間にわたる研修に取り組み、現地で活動しました。各チームから2名ずつ、4名の生徒たちに話を聞きました。

Rokhakチーム
鈴木 快さん (高1)
女性向けの商品を販売する店舗に来客を呼び込むためには、店内装飾が最重要。商品紹介ポップや店前の黒板など、実用的で惹きつけるものを用意できました。女性向けの商品を販売する店舗に来客を呼び込むためには、店内装飾が最重要。商品紹介ポップや店前の黒板など、実用的で惹きつけるものを用意できました。

 中3のオーストラリア研修で日本とは違う世界観や文化に触れ、もっと知りたい、一緒に何かしてみたいという思いは芽生えたのですが、英語ができないからと、消極的なまま研修を終えてしまいました。

 それが悔しくて、リベンジしたい、何かアクションを起こしたいと思っていたところ、カンボジア研修のことを知りました。実践的なプロジェクトという点がとても新鮮で、ぜひ挑戦したいと思いました。

 現地の人々の収入源となる大切なプロジェクトを、自分たちが潰してしまうかもしれないというプレッシャーから、現地では日本で味わうことのない緊張感を常に持っていました。それによって考える力が鍛えられたと思います。例えば「Always why」という何事にもなぜそれをやるのかという理由づけを持つことや、課題発見の効率化のプロセスなど、現地で実践してみたからこそ教訓として身についたスキルはたくさんあります。行動力も増しました。帰国後の学校生活ではカンボジア研修で得たことを活かして、パラスポーツのプロジェクトに力を入れています。

Rokhakチーム
岩崎 秀直さん (高2)
店舗を訪れる日本女性に購入してもらうための新商品開発に挑戦。複数のプロトタイプを作成。街頭調査まで実施しました。店舗を訪れる日本女性に購入してもらうための新商品開発に挑戦。複数のプロトタイプを作成。街頭調査まで実施しました。

 タイ研修に参加したことで、東南アジアの社会問題や実情に触れました。タイ研修ではたくさんのインプットがありましたが、そこで興味を持ったことをレポートにまとめる程度のアウトプットしかできていないことに、自分の課題を感じていました。学んだことをもっと実践的にアウトプットできる機会を求めて、カンボジア研修に参加しました。

 タイとカンボジアを比較してみると、それぞれの国に合った課題解決方法が必要だと思います。カンボジア研修では、どうやって課題に向かえばいいのかという姿勢、プロセスやコツなど、課題解決の基本をしっかりと学ぶことができました。それを現地の状況や文化に合わせて応用することで、さまざまな課題に応用していけると思います。

 これから先、大学などでさらにたくさんの課題解決について知見を広め、多くの人と関わることで、課題解決に向けた応用力を付けていきたいと思います。そして将来は、より多くの人が豊かになるような活動に、国内外を問わず関わっていきたいです。

Lavender Jeepチーム
中川 響さん (高1)
女性観光客向けのジープツアーを知ってもらうため、QRコード付きチラシを開発。5つ星ホテルを中心にロビーに置いてもらえるよう営業もしました。写真中央が中川さん。女性観光客向けのジープツアーを知ってもらうため、QRコード付きチラシを開発。5つ星ホテルを中心にロビーに置いてもらえるよう営業もしました。写真中央が中川さん。

 中3で参加したイギリス・オックスフォード研修で得た英語力をどこかで試してみたい、という軽い気持ちでカンボジア研修に興味を持ったことがきっかけでした。そしてその内容が、自分の興味がある発展途上国の問題や、環境分野と関わりの強い内容であることを知り、参加したいという意欲が高まりました。

 プロジェクトを進める中で、リーダーとして人に役割を与えることを経験しました。また、プレゼンテーションの機会がたくさんありました。どちらも研修に参加するまで自分が苦手としていたことです。だからこそ、それを乗り越えて成果を出せたときには自分が成長できたという実感がありました。

 僕の将来の夢は、環境学などさまざまなアプローチを使って、カンボジアのような途上国に住む人たちの生活環境を改善することです。今回のカンボジア研修でも、湖に浮かぶ村であるフローティングビレッジやスラム街などで暮らす人々の生活環境を目の当たりにしてショックを受け、改善の必要を強く感じました。カンボジア研修でたくさんのスキルを身につけ成長できた一方で、これから先、さらに自分が学ばなくてはならないことも見えてきました。

Lavender Jeepチーム
水沼 昂士さん (高2)
女性ドライバーがラベンダージープで案内する「ナイトツアー」を新開発するなど、皆で実際的なアイデアを実現しました。写真右が水沼さん。女性ドライバーがラベンダージープで案内する「ナイトツアー」を新開発するなど、皆で実際的なアイデアを実現しました。写真右が水沼さん。

 語学研修や異文化交流を越えた実践的なプロジェクトというところに魅力を感じて、カンボジア研修に参加しました。

 事前研修では情報を集め、分析し、仮説を立てました。そして現地に行って実践してみると、その仮説の通りにはいかず、修正が必要となります。その繰り返しです。事前に仮説を立てることは不可欠ですが、現地で実際にやってみないとわからないこともある。それにどう対処していくのかを学ぶことができました。

 事前研修中に高3のリーダーが一時的にプロジェクトから抜けて、リーダーの代理を務めたことも、困難でしたが大きな成長につながりました。自分のことしか見えていなかったところが、メンバーにどうしたらうまく働きかけられるのかと悩みながら、もっと広く深くチームワークについて考えられるようになったと思います。

 こうした経験はバスケットボール部の活動にも役立っています。部員のやる気を引き出すにはどうしたらいいか、勝つためにはどうしたらいいかなど、いろいろな状況を打破できる力は今回のカンボジア研修で培われたものだと思います。

進学通信 2020年1月号
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