2026年度、文部科学省の「DXハイスクール」に、私立高校で唯一新規採択された佼成学園女子高等学校。もともと「探究教育」や「サイエンス教育」に注力する同校が、どのように教育活動をバージョンアップし、生徒の進路・キャリア教育へつなげていくのか。教頭・教務部長の二木宏明先生にお話を伺いました。
2026年度、文部科学省の「DXハイスクール」に、私立高校で唯一新規採択された佼成学園女子高等学校。もともと「探究教育」や「サイエンス教育」に注力する同校が、どのように教育活動をバージョンアップし、生徒の進路・キャリア教育へつなげていくのか。教頭・教務部長の二木宏明先生にお話を伺いました。
二木宏明先生一番の変更点は、2028年度の「情報Ⅱ」の新設と、独自のDX科目「理数探究基礎(仮称)」の導入検討です。文理問わず、全員がデジタルを武器にできる環境を整えます。さらに、3DプリンターやVR、ドローン、高性能PCなどをそろえた「マルチメディアラボ」も計画中です。生徒が自由に「デジタルものづくり」を楽しめる場を創ることで、知的好奇心を刺激し、クリエイティブな発想を育てていきます。
本校は以前から『探究学習』に力を入れており、『総合探究』の授業では、少人数のゼミナール形式で生徒一人ひとりが好きなテーマを研究しています。これまでは、論文の執筆やポスターセッション、スライド発表などが最終目標でした。今後はそこにデジタルを掛け合わせ、さらに深い学びへと進化させたいと考えています。
例えば、3Dプリンターを使った立体造形や、生成AIを活用した動画制作など、新しいクリエイティブな表現にもどんどん挑戦させていきたいですね。実は、私が担当する少人数ゼミではすでにデジタル技術を活用しており、生徒たちは目を輝かせながら創造力を発揮しています。例えば、3Dプリンターを使って机上の消しゴムのカスを掃除する『ミニロボット掃除機』を自作した生徒がいます。また、水難救助に役立つドローンや、ゴミ収集所でカラスを追い払うドローンの機能を考案した生徒もいます。このように、デジタル技術を道具として使いながら、社会の課題を解決するさまざまな試みがすでに始まっています。
“問いの深まり”においては、生成AIとの対話を通じて課題を構造化し、本質的な問い(リサーチクエスチョン)へ導きます。本校では2026年度よりGoogle Geminiを全校導入しました。ネット検索を超える“思考のパートナー”として、全世界の叡智に触れながら的確に視野を広げられます。成果発表を単なるレポートで終わらせず、VRやデジタルアート、映像制作などで発信する「表現の多様化」も進めます。デジタルを駆使した発信は、生徒の創造力と表現力を飛躍的に高めてくれるはずです。デジタル技術は、これから社会へ出る生徒たちにとって、必ず身の回りに出てくる不可欠な存在です。だからこそ、危険性があるからと遠ざけるのではなく、リスクも含めて正しく学び、道具としてうまく活用していく姿勢が大切だと考えています。本校が今回、デジタル技術の積極的な導入を決断したのもそのためです。現在は探究学習での活用が中心ですが、今後は他のあらゆる教科の授業でも、デジタルの利便性をどんどん取り入れていく計画です。
「本校では、卒業生の約4割が総合型選抜を利用して大学へと進学しています。この高い実績を支えているのが、在学中に「本物」に触れる圧倒的な経験量です。例えば、特進コースの『総合探究』で行う少人数ゼミナールでは、1ゼミあたりわずか6〜7名の生徒に対して教員がマンツーマンのように伴走し、1年をかけて研究論文を仕上げます。この『自ら問いを立て、答えのない課題に挑む』という深い経験そのものが、総合型選抜入試における自己アピールの強力な核となります。
また、進学コースで行っているのが、企業とコラボレーションする探究『企業クエスト』です。実社会の企業から提示されるリアルなミッションに対し、グループで企画提案に挑戦。このプロセスを通じて、社会課題を「自分ごと」として捉える生きた視点を養います。主な実績として、富士通とコラボレーションしたグループが、『LGBTを個性に』をテーマにアプリを提案・制作。その高い完成度が評価され、全国大会出場という快挙を成し遂げました。
特進・進学コースの2年生が全員取り組む『キャリアデザイン』は、自らの人生設計を行う独自の学校設定科目です。自己分析をベースに、『高大連携』による大学講義の履修などを通じて、大学への志望理由を自らデザインしていきます。
このように“本物”に触れる豊富な機会が、大学進学への確かな原動力になっていると実感しています。また、本校が毎年3月に実施している全校一斉の成果発表の場『プレゼンテーションデイ』での経験も欠かせません。1年間にわたる探究活動の成果を自ら発表し、外部の専門家から直接フィードバックを受ける。この繰り返しによって鍛えられた高い論理的思考力とプレゼンテーション能力こそが、総合型選抜をはじめとする大学入試への強さに直結しています」
「私たちのゴールは、単に“デジタルに強い生徒”を育てることではありません。これからの時代、デジタル技術は読み書きと同じくらい当たり前のリテラシーだからです。本校がめざすのは、文系・理系の壁を取り払った『デジタル×リベラルアーツ』の教育です。『エンジニアリング思考』と『人文科学的知性』を兼ね備え、自らの手で未来を切り拓いていける人材を育てていくこと。これこそが、私たちが描くこれからのビジョンです。
ここで言う『エンジニアリング思考』とは、自分が考えたことを言葉にするだけでなく、実際に形にする(ポスターや動画、成果物へと落とし込む)プロセスのことです。
こうした思考を育みながら、デジタルという武器を用いて“自らの人生を自らがデザインする力をもつ女性”、そして“国際社会の平和構築に貢献できる女性”を育てていきたいと考えています。将来、彼女たちが世界へと羽ばたく時、デジタルがその背中を押す“強力な翼”となるように。これからも生徒たちがワクワクしながら学べる教育活動を、全力で展開してまいります」
東京都市大学や桜美林大学、東京工科大学など多くの大学と提携。出張授業や大学での講義履修など、高校にいながら高度な学びを体験できます。
2026年度に私立で唯一新規採択された「DXハイスクール」。このオリジナルロゴは、美大に在籍する卒業生の手によって制作されました。
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